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「まささん、『信頼』を語る」の巻

「そこまで言うなら何も言わんが、それって随分窮屈なひとの見方だと思わんか?」


「思わんよ。俺にとっちゃひとの『好き嫌い』より、そいつが『信頼できる』かどうかのほうがずっと大事なことだからな。遊び友達程度なら、そりゃ一緒にいて楽しめる奴のほうがいいさ。でもさ、自分と人生をともにして、時には大事なものを任せたりすることもある相棒を、単に『好き嫌い』で選ぶ気するか? 俺は嫌だぞ。俺の見てないところで何企んでるかわかったもんじゃないからな」


「確かにな。自分の弱いとこ見せられるってのも、そこに『信頼』がないと、単に弱みを握らせてるだけってことになりかねないものな」


「だろ? ぶっちゃけいうと、しょせん『愛』だの『恋』だのなんてものは、その時の感情だけでどうにでもなっちゃうもんなんだな。場当たり的なお追従と綺麗な言葉で、どれだけでも表面を繕える。表っ面だけを整えられる。格好だけを付けられる。でも『信頼』は違う。時間をかけて積み重ねなくちゃならない。実績だけが物言う世界だ。そしてその実績ってのは何かというと、一番身近で、そして根本にあるのが『嘘吐かない』ってこと。力不足で結果的に嘘を吐くことになっても、それは別に構わんし、相方に不利益与えないのなら、聞かれてないことまでわざわざ答える義務はない。でも、はっきりとした悪意を持ってだまそうと嘘を吐くのなら、それは一発レッドカードだ」


「わかる。わかるぞ」


「だろ~。いざというとき自分の背中任せられる相方ってのは、その体重に等しい重さの金塊以上に価値がある。ことによっちゃ、比べるのが失礼ってほどになるかもしれない。もっとも、いまの日本じゃ忘れられてるって気がしないでもないけどな」


「いちいちごもっとも。ただ、そんなおまえさんに、ひとつ聞いてもいいかね?」


「ご自由に」


「おまえさんのハングル彼女が嘘吐いてる可能性に気を回さんのはなぜだ?」


「?」


「相手は韓国人だぞ。それも若い女。何しに日本に来てるのか、そこんとこ疑ってみたことはないんか?」


「何が言いたい?」


「そりゃあ当然、外貨稼ぎの身体張った遠征部隊かもってことさ。おっと、怒るなよ。もしそのがそうだったとしたら、おまえどうする気なのかなって思ったのさ。俺だって、友人ダチが被害に遭うのは見過ごせないからな」


「ああ、そういうことね」


「そういうことさ」


「それがどうした? だな。俺の答えは」

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