「まささん、騎士を語る」の巻
(ねねさん相手に難しく王さまを語ったまささんは、続いて騎士を語り出します)
「基本、騎士になりたいひとってのは、願い事を叶えようとする時、自分から動こうとするひとのことを言います。さっきのレストランの話に例えると、お冷やが欲しくなったら自分で取りに行くタイプのひとですね」
「なるほど」
「で、こういうひとの大半は、誰かに何かをしてあげたいひとでもあります」
「素敵ですねー」
「でも、この手のひとは重宝されるけど女性からは大事にされません。なんでだと思います?」
「さっぱりわかりません。とゆーか、そんなことがありえるんですか?」
「それが、日本の場合フツーです。なぜならば、こういったひとは、自分の親切に対価を欲しがらないことが多いからです。つまり、騎士になりたいひとからはタダで好意をいただけるんです。だから、愛情や親切などの、いわばこちらからのおかえしをしてあげるってひとは少数派になります。だって、なんにもしなくても尽くしてもらえちゃうんですから。大事にしてあげなくても、勝手にあちらが大事にしてくれるんですから」
「おゥ……」
「むかしの日本では、女の人がこういった騎士になりたいひとをたくさん食い物にしてました。食事をおごらせるだけの男性、プレゼントを貢がせるためだけの男性、クルマで送り向かいさせるためだけの男性。そういう都合のいいひとたちをいいように使って、自由気ままに無責任に生きてたんです。たぶん、いまでも日本の女の人たちはそういった生活を一生懸命夢見ているんでしょうね。でも、食い物にされてきた男の人たちが耐えきれなくなっちゃいました。そりゃそうですよね。だって、女の人にタダでいろいろしてあげても、騎士になりたいひとたちは何かしてもらえるわけじゃない。それどころか、奴隷みたいに扱われたあげく、さっき言った王さまになりたい男の人たちに、その大事にしてきた女の人を取られちゃう。それまでの苦労も努力もまったくの無駄になってしまう。いま日本で急激に進んでる男の人の『結婚しない病』は、そういう不信感の現れだと思います」
「ああ、そう言えば仕事場で日本の女の人とお話ししてて、わたし思たことがあります」
「はい?」
「日本の女の人、恋人にしたいひとと旦那さんにしたいひとで、求めるものが全然違うんですよ」