「まささん、本格中華を食す」の巻
(ねねさんが見付けた中華料理のお店に、連れ合ってやってきたまささんたちカップルなのでありました)
「このお店ですね、本当の中国人がやてるんです!」
「ほお、それはそれは」
「だからですね。フツーの中華料理店とちょと違った料理があるのです。今日は、まささんにそれを食べてもらいたいと思たんです。ところで──」
「ところで?」
「まささんは、辛いものは大丈夫でしたよね?」
「大丈夫ですよ。それが何か?」
「ここで注文する料理、物凄くスパイス効いてて辛いです。だから一応聞いておきました」
「なるほど。韓国のひとは辛いの大好きですからね」
「実はそうでもないですよ」
「ほえ」
「わたし、キムチとかの辛さは好きじゃないですけど、ここのみたいなスパイスの辛さは好きなんです。辛さにもいろいろあて、それぞれ好き嫌いがあるんです。わたし、韓国人=キムチみたいな考え方、好きじゃないです。日本人=オショーユみたいなこと言われたら、違うよて言ちゃうでしょ? それと同じ気持ちです」
「ふむふむ。理解しました。じゃあ、注文のほうは任せます。おすすめがあるんでしょ」
「任せてください!」
ねねさんが胸を張って注文したのは、茄子と豚肉を焼いたものと、台湾ラーメン、そして、豚の背骨をスパイスで煮込んだ料理の三つでした。
「こ、これは」
「びくりしますでしょ。この豚の背骨、手で取って、こうしてちぎって、骨ごと口に運んで食べられるところだけ食べるんです。わたしの真似して、まささんもやてみてください」
「え、え~と(使い捨ての手袋をはめ、山盛りになった豚の背骨を手に取るまささん)」
「もと力入れて!」
「こうですか。おッ、繋ぎ目で折れるんだ。まあ、背骨だから当然か」
「それをそのままかじてください」
「(心の声:う~む、食べにくい……そうか! 箸でほじくればいいんだ!)」
「どーですか、まささん」
「こ、これはうまい!」