表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/89

「まささんねねさん、セウォル号沈没のニュースを見る」の巻

(ひととおり男女の戦いを終えたまささんとねねさんは、テレビでたまたまやっていた、韓国の客船沈没事故のニュースを目にしたのでありました)


「船長が真っ先に逃げ出したって言ってたよね」


「とても恥ずかしいです! 死刑になればいいのにッ!」


「ああいうのってさ、実は『普段の空気』が出てくるもんなんだよ」


「普段の空気て、なんですか?」


「社会がね、どんな行いが良いことで、どんな行いが恥ずかしいことだと思っているかってこと」


「???」


「例えばね、韓国の社会が『自分が損をするくらいなら、他人がどうなってもかまわない。それをできない奴は負け組だから、他人を押し退けられる奴こそが強くて正しい』って感じだったら、あの船長のやってることは間違ってないよね。学生がどれだけ犠牲になっても知らない。自分の命こそが大事だから、って」


「韓国はそなこと言てないですよ!」


「でもね。物凄い学歴社会ってのはそういうことを言っているのと同じなんだ。まわりのライバルを押し退けて、自分だけが合格する。まわりのライバルを押し退けて、自分だけがいい会社に入る。まわりのライバルを押し退けて、自分だけが出世する。そういうのが人生の得だって、若い人たちに教え込んでるわけだから」


「それのどこが悪いですか? わたし、まささんの言てること、わからないです!」


「上を目指すのは悪いことじゃないよ。ボクは、やり方の問題のことを言ってるんだ」


「やり方、ですか?」


「うん、そう。日本でもそうなんだけど、人間の評価っていうのは、しょせん知らない他人がやることなんだ。だから、そんな知らないひとの基準でやるランキングなんかにこだわってちゃ、本当は駄目なんだよ。なんでかっていうと、そのランキングの物差しってのは、いつどこでころっと変わるかわかったものじゃないから」


「……」


「だからね、大事なのはそんなランキングの順位を上げることじゃなくって、自分に備わった本当の実力を積み重ねていくことなんだ。ところが、手っ取り早く順位を上げるためには、他人の足を引っ張ったり、成功した誰かの後追いをした方がずっと早いし効率がいい。サムスンやヒュンダイがそれで成功したから、韓国ではそれが成功のモデルになってるんじゃない? でもさ、そんなのじゃ、いざという時、ろくなことにならないんだ。なんでかって言うと、目先の損得って言うのは、その先のもっと大きな損得を約束するものじゃないからだよ。だからいま、サムスンもヒュンダイも経営がやばくなってきてる。成功の先に何があるのか。成功の先で自分がどうすればいいのかを見てなかったからだよ。この船長は自分の責任を放棄して命こそ助かったけど、このあと決していい目にはあえないと思う」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ