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「まささん、ねねさんをたしなめる」の巻

(ラーメン屋さんでの食事を終えて、まささんとねねさんはお店をあとにしようとしたのでした)


「(お店のひと)ありがとうございました!」


「さっきは(連れが)わがまま言って悪かったね。ごちそうさん」


「まささん。謝ることなんてひとつもないです! さきも言いましたけど、お店の駄目なところちゃんと教えて上げるのは、お客さんの仕事です。お店のためにもなるじゃないですか!」


「ねねさん、あのね。韓国では相手にきちんと言ってあげるのが親切なのかもしれないけど、日本ではそうじゃないんだよ」


「そうなんですか。でも、それておかしいと思います」


「う~ん。じゃあ、こう考えて欲しいな。ねねさんが何か相手の好みに合わないことをした時、そのひとがズバッと文句を付けてきたら、ねねさんは良い気持ちがしますか? それも、自分がミスをしたんじゃない時に」


「ナニケチツケテヤガンダ、コノヤロー!になるかもしれません。だてそのひと、わたしにクレーム付けて、自分を特別扱いしろ!て言いだすつもりなのかもしれないじゃないですか。わたし、納得なとくできなかたら、闘います」


「そう、それそれ。日本人はね、基本的に争い事が嫌いだから、初めからそんな面倒が起きないよう、お互いに気を付けるようにしてる民族なんだ」


「へェ」


「だから、日本人が『こりゃ駄目だ』と判断したら、文句は言わないけどその店をぱたっと利用しなくなる。それはもう、びっくりするくらいに利用しなくなる。逆に言うと、相手に悪いところを自覚させるチャンスも与えないわけだから、その点で言えば世界で一番残酷なお客さんかもしれないね」


「おゥ……」


「そして日本人は、文句言わない代わりに文句言われるのも嫌いなんだ。だからギャンギャンクレーム付けてくるひとの言うことも『はいはい』って聞き流してまともに受け取りもしない。日本人を説得するには、丁寧に、相手の気持ちを考えて、やわらかく『こうしたほうが得ですよ』って教えてあげなくちゃいけない。強気強気で『俺の言うことを聞け!』じゃ、日本人に嫌われることはあっても言うことを聞かせることはできないんだよ」


「う゛~。難しいですね、日本人。でも、まささんの言うことも正しい思いました。こちが言いたいこと言たら、確かに相手と喧嘩になることもありますしね」


「でしょ?」


「勉強になりました! まささん、またいろいろ教えてくださいね!」


まささんの錯覚かもしれませんが、ひとつ賢くなったように見えるねねさんなのでありました。

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