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「ねねさん、ラーメンにクレーム入れる」の巻

(やがて、テーブルに着いたまささんたちの前に、それぞれ大盛りの「ネギ味噌ラーメン」が運ばれてきたのでした)


「(心の声:お……おお……これはまさしく聞きしに勝る……)」


「店員さん! 器をひとついただけますか?」


「器? なんに使うの?」


「食べない分をとっとくんです。こうやって」


と言うが早いかねねさんは、自分の分のネギ味噌ラーメンからメンとネギとを、もらった器に移し始めます。


唖然としてそれを見ているまささん。


ですがねねさんは、そんなまささんを一顧だにせず、目の前のラーメンに箸を付けます。


そしてひと言言いました。


「まず~い!」


周囲に聞こえるだけの声量です。


びっくりしたまささんがたしなめようとするのより早く、ねねさんはさらに続けます。


「物凄く温いです! 店員さ~ん! スープが温いです! ほら、まささんも確かめてみて。温いでしょ?」


「う、うん。でもまあ気にするほどのことじゃあ……(心の声:うわぁぁぁッ! 他からの視線が痛いぃぃぃッ!)」


「(やって来た店員さん曰く)申し訳ありません。どうも、一緒に入っている野菜の類がスープの温度を下げてるみたいで……」


「あー、そうなんですか。わかりました。じゃ、お手数だけど、熱いスープだけもらえますか?」


「かしこまりました」


まささんはこの遣り取りの最中、黙ってラーメンをすすっていました。巧妙にネギの部分を避けながら。


そんなまささんにねねさんが言います。


「お客さんで来たんだから、お店のひとには駄目なところはきり言わないと失礼だよね。駄目なところ駄目と教えて上げれば、お店のひと、もと頑張て美味しいもの作れるようになる。そうやて、お互いレベルアップしていくのが韓国のいいところ。まささんもおぼえといてくださいね!」


「……肝に銘じておきます(心の声:言い分はわかる。わかるんだが、それを実戦するかッ!? 俺、もう二度とこの店には来れんな……)」


「まささんッ!」


「はいッ!?」


「(手元の器を差し出して)これ、まささん食べてください! 焼き鳥の時も言いましたけど、野菜たくさん食べると身体にいいです。どんどん、ネギ食べてください。はい、口あ~んしてください! あ~ん」


「あ……あ~ん(心の声:さっきのとは別の意味で、二度とこの店には来れんな……)」

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