「まささん、Bさんに叱られる」の巻
(だんだんとエキサイトしてきたBさんは、なおもまささんに説教かますのでした)
「まささんさんは、その韓国人の女の子からの好意を頭っから信用してないのよ。自分には好意を受けるだけの理由がないはずだって」
「いやだってそうでしょ? 女性がボクに惚れる理由っていったい何?」
「そこよ、そこ! まささんさんはね、ひとの心がなんの根拠もなしに動くってのを理解できてないのよ。知識としてはわかってても、それをほんとのところでわかってない。だから他人から好意や信頼を受けても、そこに納得できるだけの理由を自覚できてないと、何か裏があるんじゃないかって勘ぐっちゃう。要するに、自分に自信がないわけよ」
「無根拠な自信ってのは『うぬぼれ』って言うんですよ」
「うぬぼれだって立派な自信でしょ? 卑屈に自虐してる男の人よりずっと立派に見えるわ」
「自虐だって立派な自己評価のひとつだと思いますが? それが駄目だと思うなら、そいつのいいところを誉めてやればいいんですよ。ちゃんと客観的な理由を付けてね。そういうのができないから、昨今の日本女性はあかんのです」
「まあ確かに、まささんさんは、見事なまでに男としての魅力に欠けたひとですけどね。イケメンじゃないし、甲斐性なしだし、中途半端にリアリストだし」
「そこまではっきり言わんでも……事実だけどさ」
「それでもうちの旦那といまだに付き合いあるじゃないですか? 自分の持ってる人間的魅力って、自分が理解できてる必要はないんですよ。自分以外の誰かがそれをわかってくれたら、それだけでもう十分じゃないですか」
「そんなもんかね?」
「そんなもんですって。世の中、『捨てる神あれば拾う神あり』『たで食う虫も好き好き』 他人の悪趣味を否定するのは勝手だけど、他人に迷惑掛けてないのまで駄目出ししたら、それこそおまえ何様!?ってことになりません?」
「仰るとおりで」
「いまのまささんさんは、ぶっちゃけいうと自分を見る他人の目に片っ端から駄目出ししてる状況なんですよ。だから、旦那曰く『自分からフラグをぶち折ってる』羽目になってるわけです。それも無自覚のうちにね」
「う~ん、実感がない」
「じゃあ、実感湧くまで行っちゃいましょうよ! どーせこのまま行っても、いまのまささんさんが女の人とうまく行く確率なんて、宝くじで一等当てるぐらいのものですって。だったら素直に、いまの幸運に身を任せてみてもいいんじゃないですか? あなたの大好きなネタだと思っておけば、気も軽くなるでしょ?」
「ボクの人生はネタですか?」
「他人の人生なんてネタ以外の何物でもないでしょ?」