「まささん、Bさんに説教される」の巻
(X家の晩ご飯に招かれたまささんは、その場でX嫁のBさんにお説教を喰らってしまったのでした)
「まささんさんは、うちの旦那が前カノに振られた時、『女なんてみんなあんなもんだ』って肩ポンポンしてたそうじゃない。そりゃ、オトコの内面よりスペック重視って女のほうが圧倒的だけどさ、みんなってのは言いすぎじゃないの? みんなってのは?」
「こりゃまたえらく古い話を……」
「茶化さない! 吹き込んだのは事実でしょ? あたしやCが、このひと現役復帰させるのにいったいどれだけ苦労したと思ってんのよ! まささんさんがこれまでどんな女と出会ってきたかは知らないけどさ。世の中にはね、そんなクズ女しかいないってわけじゃないのよ。うちの旦那みたいな男にガチ惚れする、あたしやC、D、Eみたいな女だっているんだからッ!」
「そりゃ失礼しました。そういう例外事項があることも頭の隅っこに置いときます」
「うそうそ。あなた、そんなことちっとも思っていないでしょ?」
「はェ?」
「あなたはさァ、基本的に世の中の女がひとり残らずカオとカネと夜の営みでオトコ選ぶって思ってるでしょ?」
「客観的に見て間違ってるとは思えませんが? 娑婆に出回ってるデータを見る限り、その三条件をクリアしない男性なんて、そもそも女性から中身を見てすらもらえてませんよ。DV男やDQNの婚姻率と真面目なリーマンの婚姻率を見てみたら、結果は一目瞭然なんじゃないですか?」
「じゃあ、うちみたいな夫婦はいったいどう説明するわけ?」
「物事には必ず誤差が生じるものです。世の中に、完全百パってものはありませんからね。だから、その点に関してはあなたと議論するつもりはありませんよ。否定するつもりもないですしね。ただ、それが一般的な出来事だと信じてないだけです」
「随分とドライなこと」
「旦那さんからボクのこと聞いてなかったんですか? ボクのむかしの渾名は『ドライアイス』ですよ」
「なるほど。納得したわ」
「何をです?」
「さっきの話の中で、まささんさんの腰がとことん引けてみえた理由って奴よ」