闇の終焉(3)
「確かに、只の人間には何も分からないよな。さて、俺とヌーンは何者でしょうか?リークは何者でしょうか?答えは簡単。リークも、俺もヌーンも、悠久の年月を生きている。人知を超えた力を持ち、世界が滅びないように守っている。俺たちが何もしなければ、世界は容易く滅びてしまうから。滅びてもいいのかもな。世界なんて、この星には数え切れないほど存在するのだから。それぞれの世界に命があって、文明がある。この世界が滅びても、他の世界がある。俺たちは世界を超えられるから、他の世界へ行けばいい。目を離せば、すぐに滅びる世界のために、なぜ俺たちは戦わなければならない?なぜ、身を犠牲にしなければならない?俺はヌーンがいるから踏ん張ってこれた。――タギは、一人で生きていたんだ。孤独で、辛い人生だ。なぜ、苦しまなくてはならない?時には答えが分からなくなることもある。只の人間には、俺たちの苦しみ、分からないよな」
そしてボルトが掴んだ銃口が容易く曲げられた。彼の力はヒナタたちを凌駕する。
「タギは俺よりも強い力を持つ。この世界を立て直すには、タギの力が必要なのさ」
リークは苦笑した。
「誰でも他人を信じる。変らないその癖は、ボルトの良いところであり、弱点でもあるんだよ。確かに、ボルトの言うことには一理ある。守護者が道を踏み誤れば、世界は滅びる。そして、守護者の力が足りなくても、世界は滅びてしまう。世界を守る守護者は、皆疲弊している。タギの力が復興に必要なのは事実。そして、再びタギが牙を向けたとき、ボルトとヌーンじゃ太刀打ちできないのも事実なんだよ」
リークの言葉を否定したのは、ボルトでなくヌーンであった。
「大丈夫、私たちは一人じゃない。一人じゃないから強い。暗闇の中、リークをこの都まで届けたのは、私たちじゃない。何の力も持たない人間達が、力を合わせたからリークはここまで来る事が出来たのよ」
ヒナタが口を出す事など畏れ多い、神に近しい人たちの討論だった。答えなど見つかるはずもない。この現状を生み出したのはタギ、そして復興にはタギの力が必要なのだ。タギが裏切れば、今度は本当に世界が滅びてしまう。ヒナタは色々なことを考えた。考えたところで、十七歳の何の力もないヒナタに解決策など見つかるはずも無い。ただ、思ったことを言わずにはいられなかった。
「ねえ、聞いて。リークたちから見れば、私たちはとても無力な存在だと思う。リークたちは神様だから。私たちは過ちを犯すし、立ち止まってしまうことも多い。でもね、生きているの。光を望み、ここまで来る事が出来た。光を望み、絶望的な状況から立ち上がった。私は、タギを残すなら残せば良いと思う。もし、もう一度光を奪われる事になるのなら、私は戦うから。光を守るためにね。神とだって戦う」
大それた事だと知っていたが、ヒナタは言わずにはいられなかった。リークが言ってくれたから。
――命は何よりも強い。
ヒナタもその命の一つだから。
静寂が辺りを包んだのは一時のこと。アキラが手を叩いてくれていた。アサヒも失った手で叩くようにしていた。辺りにいる奴隷達も、そして不服そうにエイジも……。
世界に光は戻った。全てはここから始まる。
dark.dark次話が最終話になります。




