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dark.dark  作者: 相原ミヤ
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光の世界(3)

塔は崩れている。きっと、リークもヌーンも巻き込まれている。暗闇の世界を終わらせるために、一体いくつのいのちが犠牲になるというのだろうか。ヒナタはゆっくりと目を閉じた。目を閉じても、太陽の光を感じることが出来る。明るくなった空を見て、武器を下ろす人々の姿を感じることが出来る。

「二人とも、安心して……」

耳元でリークの声が響いた、と同時にヒナタとエイジを同時に強く抱きしめる腕があった。温かな温もりをヒナタは知っている。目を開くと、リークがヒナタを抱きしめていた。

「リーク、どうして……」

尋ねる間もなく、リークは微笑んだ。

「助けに来たよ。俺はリーク。守ってもらってばかりじゃ、リークの名が廃るからね」

そしてリークの腕の力が緩んだかと思うと、彼の姿はそこに無かった。ヒナタの腕を掴んでいたのは、薄金色の鳥の足だった。身体は大きく人が乗れる。尾は長く馬のそれと似ている。途中で垂れた犬の耳のような耳があり、羽毛でなく長い毛で包まれた美しい鳥。鳥が大きく翼を広げたかと思うと、ヒナタの身体は強く宙へ引き上げられた。

「ほら、皆が武器を捨てている。誰もが気づいたんだ。争いはもう必要ないと。太陽の光は、誰にも皆平等に降り注ぐと」

ヒナタの目から涙が溢れた。

「リーク、この光のために何人が命を落としたのかな。ボルトも、ヌーンも、みんなこの光のために死んでしまったの」

「大丈夫だよ、大丈夫。ヒナタ。命はなによりも強いからね」

ヒナタは空を見上げた。力強く羽ばたくリークの姿があった。

「言っていなかったね。これが俺の本当の姿。ちょっと、力を使って人間の姿をしていただけだよ。仮の姿って奴かな。あちらの方が身動きしやすいことが多いからね。多いんだよ。俺たちみたいな存在は、仮の姿に人間を模る。ヌーンも同じ。あの海で、ヒナタたちを救ったのも俺。だって、エイジは俺の存在を隠していたから、こっちの方が良かっただろ。俺も気を使ったんだ」

リークは人知を超えた存在だ。光を纏い、その姿が人間であっても、薄金色の美しい鳥であっても、只人であるヒナタが容易く触れることが出来ない存在なのだ。そう思うと、先刻までヒナタがリークを背負っていたことが信じられなかった。リークがゆっくりと羽ばたき、ヒナタを地に下ろした直後、塔は崩れさった。

「ヒナタ!」

遠くからアキラがヒナタを呼んでいた。都に次々と軍が雪崩れ込み、道路に人が溢れた。リークが再び人の姿に静かに微笑んだ。

「ヒナタ、エイジ、見てごらん。人は武器を捨ててしまった」

リークが言うから、本当に大丈夫なのだと思ってしまうのだ。奴隷たちが地下から地上へと溢れ出て、空を見上げていた。太陽を取り戻した世界には、奴隷は存在しなくなるはずだ。ヒナタを強く抱きしめたのは、アサヒだった。アキラもそこにいる。空を見上げて人は口をあけている。それは、ヒナタたちも同じだ。長い夜が明けた瞬間だった。


メリークリスマス

とうとう世界に光が戻りました。ということで、dark.dark最終話まであと少しです。

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