光と闇とリーク(2)
彼らを救うためには光が必要なのだ。光がなければ、希望が見えない。
「どうして……、どうしてなの!」
ヒナタは座り込み地を叩いた。都に来れば光を取り戻せると信じていた。リークとボルトが暗闇の世界を終わらせる鍵を持っていると信じていた。このままではボルトは無駄死にだ。機械に死ぬという表現は間違っているかもしれないが、ヒナタにとってボルトは一つの命と同じだったのだ。かけがえの無い存在。何にも代わりを務めることが出来ない存在。それがボルトだ。
「ヒナタ、大丈夫。大丈夫だ。ヌーンも大丈夫だと言っていたから」
座り込むヒナタの肩に、エイジの腕が回された。
「諦めてはいけない。まだ、頑張れる」
励ますように、強くエイジはヒナタの背を叩いた。諦めてはならない。ヒナタは自分に言い聞かせた。
「諦められない。そうだよね、エイジ。そうだよね……」
ヒナタは立ち上がり、エイジを見つめた。エイジの目は確かに未来を見ていた。ヒナタよりずっと強く、エイジは光と未来を切望しているようだった。
「エイジ、一緒に行こう」
ヒナタは一人でない。エイジが一緒にいてくれるから駆け下りた階段を駆け上がった。そこでは獣の姿をしたヌーンが倒れ、リークが立っていた。
「ヒナタ、機械を壊したんだね」
リークが振り返ることなく言った。リークの薄い金色の髪が輝きを放っていた。リークの持つ光が一際強まったように思えた。
「タギ、諦めろ。機械は止まり、光は戻る。俺が動けることが、機械が止まった証拠だ」
塔の上は風が強く、リークの金色の髪が風に靡いた。
「リーク、暗闇の世界のほうが人々は幸せだと思わないか?私はそう思う。光があれば、人は満たされる。満たされれば、欲が生まれる。欲が争いや殺しを生む。そう思わないか、ヌーン。かつて、光が満ちていた頃、世界はどうだった?人々は争い、戦い、そして破壊する。今、暗闇の世界で私の服従下にあるとまったく違う。世界は平和だ」
リークは靡く髪を押さえ、答えた。
「平和を作る手助けをするのが、俺たちの仕事だよ。それが、宿命なんだよ。俺たちは間違ってはいけない。それが、課されたもの」
ヒナタはリークの言葉に聞き入っていた。リークの声には光があり、リークの言葉には希望があった。リークは何者なのか、考える必要もない。リークはそういう存在なのだ。迷える世界に光を与える崇高な存在。リークから放たれる光だけが、眩しく輝いていた。
「その光のために、消えた命があるというのにか!」
タギが叫んだ。ヒナタの手の中には動かない箱となったボルトがいる。




