光を取り戻すために(2)
固く閉ざされた扉の鍵を短銃で打ち抜いて破壊すると、ヒナタたちは部屋の中へ入った。二十畳ほどの部屋は、機械とコードで満たされていた。ヌーンはヒナタに機械を破壊するように言った。だから、ヒナタは機械に向けて長銃を向けた。
打ち抜くことに躊躇いはない。エイジも短銃を機械に向けている。エイジと二人で死線を潜り抜けてきた。困難な状況に陥っても、エイジという存在が傍らにいるだけでヒナタは強くなれるのだ。
――無駄だ。
ボルトの声が低く、小さく響いたのをヒナタは聞き逃さなかった。
放たれた弾丸は機械に向けて一直線に突き進み、そして何かに阻まれた。それは大きな力。ヒナタたち只人では触れることの出来ない大きな力。
「なんで……」
ヒナタは言葉を失った。
――守られているのさ。これが世界の光を奪った機械。さっきの穴に埋もれていた、遥か昔に作られた古代兵器。この機械を来訪者タギが見つけ、そして使った。
「ボルト、一体何を……」
ヒナタはいつもボルトと一緒にいた。けれども、今の瞬間、ヒナタとボルトの間に大きな距離が生じたのだ。エイジが身を乗り出して、ボルトを掴んだ。
「ボルト、ここへ来る途中、俺はヌーンから話を聞いた。この闇を生み出しているのは機械。そしてその機械のエネルギーとなっているのが、ヌーンの片割れ。ヌーンとともに生きていた者だと。お前の言う事と同じだ。ボルト、どういうことだ?」
――ヒナタ、エイジ。俺は思い出したのさ。自分の理由もな。
ボルトが神妙な口調で言った。
――タギが俺を欲する理由も分かった。そして、俺が七年前に記憶を失った理由もな。タギは俺を恐れたのさ。俺は、その中のヌーンの片割れの最後の力。このまま世界を闇に突き落とす事を否としたヌーンの片割れが、未来へ希望を託した存在が俺なんだ。
まるでボルトが別人になってしまったかのような錯覚。ヒナタはそう思い、否定した。いや、これが本物のボルトなのだ。ボルトは自分の存在意義を取り戻し、ただの機械から、誇り高い存在に生まれ変わったのだ。
――ヒナタ、俺が鍵なんだ。この機械を止める鍵。俺を機械に繋げ。そうすれば、端末の俺がシステムを止めることが出来る。
それはもってこいのことのように思えるのに、ヒナタの足は動かない。一抹の不安。ボルトが遠くなっていくような不安。
「ねえ、ボルトが鍵として、ボルトはどうなるの?」
世界の光を奪った機械を止める。機械は大きく強大な力を持っている。そんな機械のシステムに侵入して破壊したボルトはどうなってしまうのだろうか。
――何心配してんだ?俺は、俺だろ。
ボルトの言葉に安心し、ヒナタは足を進めた。
「ボルト、お前は強い奴だよ。口は悪いがな」
エイジがボルトをからかい、ボルトはけらけらと笑った。ボルトがただの機械でないのは、彼がヌーンの片割れが残した最後の力により作られたからなのだ。




