闇の都(5)
ヒナタはアサヒの後を追った。ここでは人が倒れているのは日常茶飯事の事。ヒナタが人を背負っていても、誰も気にしない。誰もが自分の事で精一杯なのだ。
「そっちを探れ!」
生気のない貧民街で、怒号が響いていた。
「まさか……」
アサヒが近くにいた老人に尋ねた。
「ねえ、あいつらは何を探しているんだ?」
すると老人は、にいっと気持ち悪い笑みを浮かべた。
「黒軍は探しているのさ。懸賞金が掛かっている。見つけた者は、富族になれるのさ」
すると、老人はアサヒの片手を掴んだ。
「探し人は四人。片腕を撃たれた手負いの男に、眠る金色の髪の男。そして、片腕の女に、長い黒髪の女。手負いの男は死んでいる可能性もある。あんたらじゃろ。捕まえた。捕まえた……」
アサヒは老人を蹴り上げ、乱暴に引き剥がした。
「ごめんね、捕まるわけにはいかないの」
そしてアサヒはヒナタの腕を掴み駆け出した。老人が叫び続けている。その声に導かれるように黒軍たちが近づいてくるため、ヒナタたちは物陰に隠れてやり過ごした。ここで役に立つのがボルトの探索機能だ。人が近づいてくるとボルトが知らせ、隠れる。それを繰り返しながら、奴隷たちの下へと進んだ。黒軍もヒナタたちの行く先を察したのか、警戒は強くなるばかり。必死に身を隠し先へ進んだが、物影にしゃがんでいると、肩に手をかけられた。
ヒナタたちは狩人だ。反射神経には自信がある。反射的に身を翻し、ヒナタとアサヒは同時に肩に手をかけた存在の腕を掴んだ。黒軍だ。ヒナタは反射的に短銃を抜き取った。
「大丈夫」
それよりも早く、ヒナタの手を取ったのは背負っていたリークだった。
「大丈夫だよ、ヒナタ、アサヒ」
先ほどまで眠っていたはずのリークが目を覚まし、ヒナタの手を取っているのだ。リークが大丈夫だと言っても、目の前の男は黒軍だ。
「ヒナタ、大丈夫だから。ね」
リークが口にした直後、リークの手は力なく落ちた。ヒナタとアサヒは眉間に皺を寄せた。
「あの峠で、盗賊たちと戦った黒軍です。あの時光を見て叫びを聞きました。あの時は家族の身を案じ戻りましたが、今は違います。少し、お手伝いさせてください」
男は柔らかく微笑んだ。罠かもしれないと思いながらも、ヒナタたちは男の手を取った。ヒナタたちに決意をさせたのは、リークが大丈夫だと言ったから。リークの言葉がヒナタたちの背を押したのだ。




