闇の都(4)
吸い込んだ都の空気は、一つ吸い込むだけで身体の中が腐っていくようだった。肺が腐り、死んでゆく。濁った空気、汚れた世界。これが都かと疑うほどだ。辺りはゴミが散乱し、暗闇の世界を照らすように数本の街灯が立っていた。豊国の村の方が明るく感じるのはなぜだろうか。ゴミが散乱する辺りには、布の屋根を張った家があり、力なく人が寝転んでいた。死んでいる年寄りもいた。子供はゴミをあさっている。汚水の中を通ってきたヒナタたちは汚れ臭いを発していたが、この環境であれば汚れで目立つことはない。少し遠くを見ると、眩い明かりが溢れていた。
「都は富裕層と貧困層がはっきりしているんだ。ここは貧困層。その中でも最下の者達。でも、都の階級性の中では、ここが最下のわけじゃない。都はタギを筆頭に、貴族、富族、平民、貧民、奴隷と分けられている。ここは貧民街。貴族は人々の三パーセント、富族は七パーセント、平民は三十パーセント、貧民は二十パーセント、奴隷が四十パーセント。きっと、アキラも奴隷として利用されているはず。ここから、更に奴隷たちのところへと下っていく。ヒナタ、黒軍には気をつけなさい。黒軍は、徒用された市民や貧民。家族を生かすために、命がけで戦ってくるから」
アサヒは躊躇うことなく貧民街を歩き始めた。ヒナタは吐き気を堪えながら、必死に先へ進んだ。ここが都だとは信じがたい。豊国の方が、よほど豊だ。極寒の地であっても、人々の心は温かい。暗闇の世界であっても、人々は信頼を寄せている。人は平等で、豊国の王は市民に優しい。極端な身分制度はなく、全ての人に平等に可能性が与えられている。思えば、冷たい空気も清清しく感じる。この地は地獄だ。




