ライト博士(7)
ヌーンとエイジはずっと眠り続けていた。背中を丸めて床に伏せるヌーンをヒナタはじっとみていた。時折、ライト博士はエイジやヌーンの様子を気にかけていた。ライト博士が食事やお茶を用意してくれ、ここには明かりが満ち足りて、外が暗闇の世界である事を忘れてしまうほどだ。
ライト博士は地熱発電でも、原子力発電でも異なる発電方法をとっていた。
「組み合わせかな。メインはバイオ発電。これを広めたくて、研究をしているんだ。でも、バイオ発電には太陽の光が必須となる。植物を育てる事が必要になるからね。そのために、風力を利用して一部電気を作っている。電球の光線量の調整と遺伝子組み換えで、植物の成長も早くなった。少しずつでも、進んでいるよ」
ヒナタはライト博士の横顔を見た。この人が、暗闇の世界で生きる人々の生活を支えているのだ。この地で研究を続け、発電システムや植物の生育に生育などの研究をし、成果が各地で活かされている。
「ここは、都にも近いでしょ。どうして、この地で生きているの?」
ヒナタはライト博士に尋ねた。
「ここは都に近いから、タギの動向も探れるからね。それに、ここでは孤児が多い。次代のライトを育て、研究を続けるにはもってこい。いや、ここから離れられないのは、ヌーンがいるからかもね」
「ヌーンはリークと同じくらい不思議な存在ね」
ヒナタはヌーンを見るたびに不思議に思っていた。ヌーンとリークは似ているのだ。
「それは、私とリークが似ている存在だから」
寝ていると思っていたヌーンが背中を向けたまま口にした。カシは家の外で遊んでいる。ヒナタはそれに安心した。ヌーンのことを信頼していないわけでないが、言葉を話す獣は、平常から逸脱した存在だ。触れて欲しくないと思うのは正直なところだ。ヌーンは傷ついた身体を起こし、そっとヒナタに歩み寄った。
――なんだよ、犬。
ボルトがキーキーと悪態をついた。
「あなたは怯えている。私という存在と、これから生じる事にね。機械が怯えるという表現は間違っているのかもしれないけれど……」
ヌーンの目は強い。闇の世界でも暗闇に呑まれることのない強さだった。
「私は死ねない。光を取り戻すまではね。先代のライトとも、そのまた前のライトとも、そのまたずっと前のライトとも、こうやって生きてきたのだから。私はタギが世界に来る前から、光が消える前から生きている。それが私の正体。理解できたかしら?」
ヌーンはとても強い。




