ライト博士(6)
エイジは昏々と眠り、その横でカシも眠っていた。ライト博士はお茶を飲み、ヒナタにもそれを進めてくれた。
――あんたさ、手馴れているな。
ボルトがライト博士に尋ねた。
「一人で生きているとね、色々あるんだよ。それよりも、アサヒはなぜ一人で?」
ライト博士はヒナタに尋ねた。思えば、ヒナタはライト博士にリークのことを伝えていなかった。
「リークが……」
ヒナタがリークの名を口にした途端、ライト博士が目を見開いた。
「リーク?」
ライト博士の反応を見からに、彼はリークのことを知っているのだ、
「リークの事を知っているの?」
ヒナタの方が驚いた。リークはこの暗闇の世界を終わらせる鍵となるだろう存在。ヒナタたちが希望を託した存在。
「なるほど。リークがこの世界にやってきた。ならば、この閉塞された世界に終止符を打つきっかけが、この世界が生まれたんだな。それにしても、リークはこちらの方に来れないはずだが……」
ライト博士は明らかにリークの事を知っていた。
「ねえ、リークって何者なの?どうして、ライト博士はリークの事を?」
分からなかった謎の答えを、ライト博士は知っている。
「俺は会ったことないんだけれどね、ヌーンが話していたから、間違いはないと思うよ」
「ヌーン?」
問い返した直後、ライト博士の家の扉が開いた。敵かと思って、身を固めた直後ライト博士がヒナタをなだめた。
「大丈夫」
ライト博士はゆっくりと立ち上がり、ヒナタの頭を撫でた。扉の隙間から入ってきたのは、傷ついた獣だった。あの、ヒナタたちを守ってくれていた獣だ。獣は身体から血を流し、足を引きずりながら床に伏せた。
「ヌーン!」
ライト博士は慌てた様子で立ち上がり、床に伏せた獣へ駆け寄った。
「全く、一体何があったんだい?無茶をする。君が死んだら、何にもならないのに」
ヒナタたちを守ってくれた獣は、ライト博士と面識があるのだ。立ちすくむヒナタを横目に、ライト博士はヌーンと呼ばれた獣の手当てを始めた。リークの正体を知っているのは、このヌーンなのだ。知性溢れる獣。獣と呼ぶには、あまりに気品に溢れていた。
「未来に賭けるのは、悪いことじゃない。そうでしょ、ライト」
獣は確かに言葉を口にした。
「リークは来る。気配が近づいてきているから、分かるのよ。待ち望んだ、変革の時が近づいている。ねえ、お嬢さん。リークは、己じゃなくて貴方たちを助けるように私に言ったわ。貴方たちは未来を、作ってくれるんでしょ」
ヌーンは言い、まっすぐにヒナタを見た。それは、強い目だった。




