ライト博士(3)
何が起こったのか、ヒナタは分からなかった。目を閉じて、耳で辺りの状況を探っても、大きな銃声が一度響いただけだ。怯えたようにカシは振るえ、ヒナタはカシを抱きしめた。
「もういいよ」
ライト博士の声にヒナタが目を開いた時には全てが終わっていた。窓の外には黒軍が一人残らず倒れていた。何が生じたのか分からない。同じように、エイジも驚いていた。
「人は周囲の情報の九十パーセントを視覚から得るとされているんだ。この暗闇の世界でも人は同じ。この暗闇の世界で生活している人は、少なからず強烈な光に弱い。紫外線や赤外線、太陽の光を失って人の目は少なからず闇に適応しているんだ。光を見て目がくらみ、一定時間視力を奪う。簡単なことだよ。――さて、片づけをするから、ヒナタちゃん手伝ってくれるかな?エイジくんは休んでいた方がいいから。早く片付けないと視力が戻るから。彼らを片付けるまで、待っていてね」
ライト博士はマイペースに一人で話し終えると、窓枠に寄りかかるように座っているエイジの頭を軽く撫でた。ライト博士に手の掛かると、エイジでさえ子供になってしまうのだ。彼の周囲は不思議な雰囲気で覆われ、狩人ヒナタがこれまで出会った誰とも異なる雰囲気を有していた。
「ヒナタちゃん、手伝って」
ライト博士は微笑むと、銃を片付けてそっとヒナタの肩を叩いた。
外に出たヒナタはライト博士が何をするのか分からなかった。ライト博士はヒナタに依頼し、ヒナタは言われるがままに黒軍たちを一箇所に集めた。視覚を失った彼らは無抵抗だった。彼らの荷物やバイクは残したままだ。その間に、ライト博士は黒軍が資材運搬のために使っていたトラックの荷台から資材を下ろすと、荷台に黒軍たちを乗せ始めた。科学者であるライト博士が思いのほか肉体労働に慣れている事にヒナタは驚いた。全ての黒軍たちを荷台に乗せ終えるころには、額に汗が浮かんでいた。その数十八だ。
「ヒナタちゃん、そこのバギーを使ってついて来て。これから、少し離れたところに行くからね」
言うと、ライト博士はトラックを走らせ始めた。




