ライト博士(2)
「お兄ちゃんも、じっとしていてね」
そう言って、ライト博士と思われる男は首をかしげた。
「今、ヒナタって呼んだ?ヒナタ、ヒナタ、ヒナタちゃん、ヒナタちゃん。聞き覚えのある名前だねえ。可笑しいな。人となんて、滅多に話さないのに」
ライト博士はヒナタの名に聞き覚えがある。ヒナタという同一人物の知り合いが居なければ、それは七年前にアキラとアサヒが立ち寄ったときに耳にしたと考えられる。
「ねえ、あなたライト博士でしょ。私はアキラの娘、ヒナタよ。豊国からここまで来たの。アサヒとここで待ち合わせて……」
ヒナタはライト博士と思われる男を説得するために、必死に説明した。自分たちは怪しい者でない。父はアキラであり、かつてライト博士を頼った事がある。ここでアサヒと待ち合わせをしているだけだと。すると、ライト博士と思われる男は銃を下ろした。
「なるほどね。ああ、なんとなく分かってきたよ。俺がライトだ。十七代目ライト。みんなは逃げている。それで、黒軍を連れてきたわけだ」
言うと、ライト博士は立ち上がり、窓の外を覗いた。ヒナタは何が生じたのか分からず、ライト博士が見る先を目で追った。
「せっかく、七年間も場所を知られずに隠し通したのに……」
ライト博士が悪態をついた窓の外には、黒軍のバイクの明かりが並んでいた。ヒナタは心の中で、あの獣の身を案じた。ヒナタは黒軍のバイクの明かりを認めた直後、長銃を窓の外に向けた。向けた銃口の先には数十台のバイクが並んでいた。スコープを覗き込み、黒軍に標準を当てた。人を狙うことに怯えていては生き残る事が出来ない。
「ヒナタちゃん、そこまで。ここは俺の城だから、物騒な物はしまいなよ」
ライト博士は、ヒナタの長銃の銃身を押し下げると、窓際の棚から彼の所有物と思われる長銃を取り出した。
「位置システムをずらして……。威力は十三ぐらいかな」
ライト博士は小さく窓を開くと、銃口をガラスの外へ出し、黒塗りのゴーグルをつけた。
「みんな、しっかり目を閉じておくんだよ」
ヒナタがカシを抱きしめて目を閉じた直後、瞼の上から鋭い閃光が目に刺さった。




