黒軍の再襲(3)
何度か黒軍と急接近をした。しかし、黒軍は何かに取り付かれたかのように、離れた何かを狙っているのだ。ヒナタたちは過酷な旅の中で、大きな力に守られていた。
「大きな力に守られているみたいだな」
エイジが、疲れた笑みを見せた。大きな力に守られているということが、ヒナタたちの希望であった。なぜなら、最後の食料と水をカシに与え、ハンドルを握ったヒナタが再度出発したのち、バイクのバッテリーが切れたからだ。
バイクのバッテリーが切れた事で、ヒナタは暗い闇の中に叩き落された気分がした。思わず、バイクを何度も何度も叩いた。
「どうして……」
そんなヒナタの肩をエイジが叩いた。
「ボルト、ライト博士の家までの距離は?」
言いながら、エイジはバイクから降りてカシを抱き上げた。
――二十三キロといったところだな。
ボルトは休止を止めて答えた。
「ボルトがナビゲーションを続けたところで、バッテリーはどの程度持つ?」
――最低十時間。
「なるべくバッテリーが持つようにセーブしてくれ」
エイジは最低限の荷物を纏めると、背負った。
「カシ、歩けるところまで歩くんだ。ヒナタ、止まっている暇は無い。残り二十三キロ。歩くしかないだろ。交代でバイクを押そう。ここに捨てていけない」
エイジはヒナタの腕を引っ張り、バイクから降ろすとハンドルに手をかけた。
「荷物持って、明かりをつけろ」
エイジはとても頼もしかった。ここでようやく、ヒナタは狩人が二人で行動することの真意を知った。ボルトはヒナタの相棒だ。けれども、バッテリーで動く相棒はヒナタに手を差し伸べてくれない。エイジはヒナタの背を言葉と手で押してくれているのだ。一人でなくて良かったと、ヒナタは心から思った。




