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dark.dark  作者: 相原ミヤ
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闇に潜む敵(3)

砂漠の土が生まれ育った豊国と違う。霜も無く、土の上に横たわっても凍死の心配が無い。ヒナタは土の上に横たわり、長銃を安定させた。これがヒナタの狩りのスタイル。暗視スコープを覗き込み、微かに見えるガンムシの姿を確認する。照準を合わせ、ボルトの指示に従う。

――獲物ガンムシ。距離三百二十一。左へ三度修正。下方へ一度修正。

ヒナタはミリ単位での修正をした。ガンムシは足も遅い。初心者向けの獲物だ。

「了解。左へ三度修正。下方へ一度修正。目標捕捉」

暗視スコープを通して、ガンムシの姿が見えた。ガンムシが何の警戒をすることも無く数え切れないほどの足で砂を掻いていた。地熱や無機物を分解して生きる微生物を掘り出しているのだ。暗闇の世界では暗闇の世界なりの生態系が作り上げられている。

 ヒナタは一つ息を吐いた。狩りをするときいはいつも同じ。全身の神経を集中させ、髪の毛一本まで感覚をいきわたらせる。心音が高鳴り、自分の呼吸の音が響き渡る。辺りに広がるのは暗闇と無音の空間。ヒナタとガンムシの間には何も無い。ヒナタは引き金を引く。いつものように長銃に電気がほとばしり、銃弾がガンムシへと打ち出された。

 暗視スコープから見えるガンムシは大きくのけぞり、そして動かなくなった。

――目標停止。慣れない土地で良くやった、ヒナタ。

ボルトが言い、エイジとカシも車から降りてきた。ボルトがヒナタを褒めることは珍しい。子とあれば、ボルトはアキラとヒナタを比べるからだ。

「すごいや、すごいや。アサヒと同じくらいすごいや」

カシが嬉しそうに、ヒナタの周りを跳ねた。

「さすが、最強の狩人アキラの娘だな。すごいもんだ、ヒナタ」

エイジの左手が地に伏せたままのヒナタの頭に乗せられた。同じくらいの年齢なのに、エイジはまるでアキラのようだった。一つ、エイジが咳きをした。乾いた、嫌な咳きだった。


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