闇と盗賊(6)
どれほどの時間眠ったのか、ボルトの声でヒナタは目を覚ました。野宿でなく建物の中で眠る。それだけで安心できた。身体を起こすと、ヒナタの目には眠ったカシとエイジの姿が入ってきた。二人を起こすのが忍びなくて、ヒナタが静かに外に出ると、暗闇の世界で、人々は活動を開始していた。僅かなバッテリーを惜しむように使用し、井戸から水をくみ上げる。ここで生活をしている人たちがいる。見張り台では、闇の世界の生き物たちが村を襲撃しないように、見張りをしている者がいた。そして、カシと同じくらいの子供たちが駆けていた。
――何を考えているんだ?
ボルトがヒナタに尋ねた。
「別に」
ヒナタはボルトを軽く叩いた。ボルトはヒナタのことならば、何でもお見通しなのだ。
「オイラも起きたよ。オイラ、ちゃんと起きれたんだい」
カシが目をこすりながら身体を起こした。アサヒの不在がカシに大きな負担をかけている。一人で出来ると、必死に背伸びをしているカシが、どこか痛々しく、ヒナタは七年前の自分を思い出した。
「おはよう、カシ」
アサヒと同じように、ヒナタはカシの頭を撫でた。
ヒナタは盗賊たちに朝食をもらった。カオルは快くヒナタを招きいれ、簡単なスープを出してくれた。スープは温かく、身体が温もった。カシは朝食を遠慮なく食べ終えると、同世代の子供たちの下へ駆け出した。ずっと、アサヒと二人で過ごしていたカシにとって、全てが新鮮なはずだ。子供たちと一緒にいるキョウは、子供たちにとって父のようであった。それが、若くして盗賊を率いている者の正体。統率感は無いのに、団結しているのは中核にキョウがいて、キョウを支えるカオルがいるから。盗賊とは、反社会的な存在のようであるが、ここには暗闇とタギの支配の中で人々が失った物が残されている。豊国は肥国と同じように、人が人として生きて、光が残っている。
「ヒナタ、もし、キョウが一緒に行きたいと言ったら、連れて行ってあげて」
ふと、カオルがそんなことを口にした。
「え?」
昨日は拒否していたのに、カオルの意見はガラリと変わっていた。
「キョウは光を求めているわ。なら、私はキョウの応援をする。そう決めたの」
カオルが離れたところで、子供と遊ぶキョウを見てそう言った。暗闇とタギの圧制のなかで、未来を信じる人たちがここにもいた。




