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dark.dark  作者: 相原ミヤ
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三つ巴の戦い(1)

これまで通り、カシとアサヒが荷台に乗り、ヒナタはエイジと一緒に座席に座った。ボルトがナビを行い、エイジが目印の無い砂漠を右へ左へとハンドルを切って進んでいった。ヒナタたちの旅は奇跡に守られている。リークの不思議な力。そして、金色の鳥。その鳥の正体を詮索するつもりがヒナタには無かった。

「俺はあちこち勝手に放浪をしていたけれど、海を越えるのは恐ろしかった。豊国や肥国は、海に守られている。海を越えれば、タギのいる都と陸続きになる。恐ろしい場所だよ、ここは」

ヒナタはボルトをトントンと叩いた。自動的に、ボルトがセンサーを始動させた。危険が迫らないように、危険から遠ざけるように。後は他愛もない会話だった。幼い頃のヒナタの話。そして、エイジは過去の旅の話。エイジは回れる限りの国を回り、発電システムやバイオテクノロジーの技術を調べ、買取り、必要に応じて豊国の情報や技術を売っていた。豊国より更に南は、マイナス三十度に達するところもあるらしい。他国に詳しいことは、

商人のようで、外交官のようであった。

 ヒナタは想像の中で金色の鳥を思い描いた。カシを救った温かくて大きな金色の鳥。何者なのか、鳥でありながら人間のように意志があるのか。金色の鳥、光の鳥。そのような鳥の存在は聞いたことがない。リークのように金色の光を放ち、リークのように皆に希望を届ける鳥。

「光が戻った世界はどんな世界なんだろうな。もしかしたら、俺たちは既に闇の世界の生き物なのかもしれない。そう考えることはないか?」

エイジの言葉がヒナタの胸に響いた。

 ボルトが時間を告げ、簡単な食事を取った。昨夜と同じように、リークを輪にして皆で休んだ。そして暗闇の中目を覚まし、暗闇の中先へ進む。その繰り返し。時に、アサヒとエイジと打ち合いをすることもあった。アサヒは片手とは思えないほど優れた身のこなしをしていた。アサヒはひらり、ひらり、と舞うように、暗闇の世界で身を翻し、美しかった。たった一人で暗闇の中を生きてきたアサヒの強さだ。ヒナタはアサヒの強さに憧れた。七年前と同じように、アサヒの強さを求めた。

 日に日にリークは弱り、身動き一つ取らなくなった。途中の村によっては、バッテリーの充電を求めた。海を越えてから、エイジの顔も通じなくなり、豊国と名前が出ることも少なくなった。一つ、確かなことは気温が高くなっていること。豊国は身を切るほど凍える国であるのに、都へ近づくほど温かくなっていく。奇妙な感覚であった。

「都ではこんな防寒着は必要ないわ。残念な事に都に近づくほど頼れる人はいなくなる。太陽のある時代、北の方が寒かったらしいけれど、今は違う。今は都が一番暖かく、都から離れるほど寒くなる」

アサヒは笑って語った。

 充電を求めても拒否されることが多くなり、食料を提供してくれる者が減ってきた。タギの下へ行く。都へ行くと話しても、無感情な目を見せるだけだ。タギの持つ軍【黒軍】とすれ違うことが多くなり、荷物を開けろと強要されるたび、ヒナタたちは車を走らせて逃げた。噂が噂を呼び、行動が取りにくくなった。子連れも、片腕の女も目立つ。先を急ぐ旅なのに、足止めがしばしば生じた。もしかしたら、タギはリークの存在に気づいているのかもしれない。気づいているから、黒軍を動かし始めている。ここは都から離れているから黒軍も数が少なく、一軍十人程度。エイジの見事な運転で逃げ切れる人数であった。これからの旅が酷なものになるのは明らかだった。七年前にアキラとアサヒが都へ向かったときと状況が違うのだ。

 大きな山脈がヒナタたちの目の前に立ちはだかった。岩だらけの山肌。ここは、タギの下へ荷物が運ばれる重要な道。道の手前で休憩を挟んでいるとき、アサヒが口を開いた。

「重要な道だからこそ、危険が伴う。七年前、バイクだったから、道を通らず他の道を駆け抜けたけれど、その道は、一週間はかかるわ。先を急ぐなら、この道を通らなくちゃいけない」

アサヒは警戒をしていた。

「大丈夫だよ。リークがいるから、闇の世界の生き物は襲ってこない」

ヒナタは心配性のアサヒに言った。

「だと良いけれど。私たちは狩人。闇の世界で生きる獣と戦う術を持つけれども、本当に恐ろしいのは獣じゃなくて、人間なのよ。この山には盗賊がいる」

アサヒは慈しむようにカシを抱きしめていた。


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