旅の同行者(1)
ヒナタは眠るリークを残し、アサヒの家の中へ戻った。家の中ではアサヒとエイジが険しい顔をしていた。
「ごめんなさい」
ヒナタはどうしようもなく、アサヒとエイジに頭を下げた。他に方法が分からなかったのだ。生じた距離を埋める方法は分からないが、リークの言葉がヒナタの背を押していた。
「ヒナちゃん。大きくなったね。そして、ボルトは何も変わらない」
かつてのアサヒと見た目も言葉遣いも違うが、中身はアサヒと何も変わらない。
――気づいていたんだな、アサヒ。
ボルトがアサヒに言った。もともと、ボルトはアキラの物。アキラと相棒であったアサヒとは親しい関係だ。
「当然でしょ。すぐに分かる。関わりたくないのなら、無視しようと思っていたけれどね」
アサヒはヒナタに歩み寄った。
「ヒナちゃん、ごめんなさい。辛い目に合わせたわね」
アサヒは何も変わらない。
「アサヒ、私は……」
何も言えなかった。ただ、七年間の孤独が掻き消されたような気がした。
「私も都へ行く。光を取り戻しにいく。アキラを、助けに行く」
ヒナタは光を夢みた。リークという存在が、寒さで凍り固まった足を動かしてくれたような気がした。
眠り続けるリークを、エイジが部屋の中へ運び込んだ。
「まったく、リークはどこでも眠るんだから」
エイジは文句を言いながら、リークをベッドの上に横にした。昏々と眠るリークは電気の下で見ると、本当に作り物の人形のようであった。
「リークは変わっているわね」
アサヒは呟いた。
「だからこそ、俺は未来をリークに託したんだ。それはきっと、俺だけじゃないだろ」
エイジはリークに布団をかけて言った。
ヒナタたちはアサヒの家で旅立ちの準備をした。昏々と眠るリークをよそに、車はバイクの充電を行い、食料を詰め込んだ。もちろん、長銃や短銃、刀といった武器も忘れられない。
「それで、都まではどのくらいかかる?」
荷物を搬入しながら、エイジがアサヒに尋ねていた。
「そうね、最短で三十日。最短でね。でも、途中で寄りたいところがあるの。きっと、力になってくれる人のところ。七年前、私を助けてくれた人よ」
アサヒは言った。
「三十日か……。出来るだけ早く行きたいんだ。リークの身体が持つ間に。協力頼む」
エイジが頭を下げ、アサヒとヒナタは同時に頭を下げた。
「リークについて、何か隠しているの?」
アサヒがエイジに詰め寄った。
「何も隠していないさ。ただ、俺がリークと出会って四日。リークの眠る時間は日ごとに長くなっている。まるで、弱っているみたいだろ。リークはあまり自分のことを語らない。語るのは、都へ連れて行って欲しいということだけ。リークは弱味を見せないだろうが、リークが弱まっていることは事実だと思う」
リークはとても儚い存在のように思えた。人知を超えた存在であるが、恐ろしいほど儚い存在。
「早く行こう。都へ」
ヒナタはエイジとアサヒに言った。




