アサヒとの再会(4)
ヒナタは造られた家を見た。それは、アサヒがどのような気持ちで造った家なのだろうか。アサヒは、今のヒナタと同じ十七歳で二歳の子供を連れて闇の世界で生き抜いたのだ。アサヒは優れた狩人だ。豊富な知識と優れた戦いの術を持つ。それでも、血の滲むような気持ちで生き抜いてきたことは容易に想像できた。
「アサヒは強いんだい。誰よりも強くて優しいんだい」
カシは事あるごとに胸を張り、アサヒを自慢していた。九歳の子供カシは、七年前にアキラとアサヒに懐くヒナタ自身と重なって見えた。
二時間ほどしたころ、リークがふと目を覚ました。リークが目覚めたことで、ヒナタは必然的に警戒した。リークは何か危険を察知する力があるのだろう。安全な場所では目覚めることがまず無い。エイジも同様に緊張を高めていた。
リークは毛布を引きずったまま立ち上がり、ドアの外をしかと見据えていた。アサヒが戻ってくる。リークの行動が、七年間憎み続けたアサヒが来ることをヒナタに教えた。ヒナタはそれだけで、背中に汗が流れた。
――落ち着け、ヒナタ。
ヒナタの不安を感じ取ったのか、ボルトが穏やかな声でヒナタに言った。
突如、家の中の電気が消え、家の中は暗闇の世界へ戻り、ヒナタは反射的に暗視スコープをつけて、短銃を抜いた。暗視スコープで辺りを見ると、エイジも刀を抜いていた。リークだけが、相変わらずの無警戒の姿で平然と立っていた。
暗闇の中、風が走り抜けたかと思うと、エイジとマントを羽織った人物が刀を付き合わせていた。この狭い室内では銃は仲間を傷つける可能性が高く安易に使用できない。部屋の中に進入された以上、銃は使用できず、ヒナタはナイフを取り出した。マントを羽織った人物は、間違いなくアサヒであった。優れた運動能力と、片手で刀を抜くその姿がアサヒであると示していた。
「カシ、隠れていなさい!」
そう言う声がアサヒのものであった。凛と響き、落ち着いた声。アサヒは侵入者であるヒナタたちからカシを守ろうとしているのだ。カシはベッドの下に隠れた。エイジとアサヒは互角か、家の間取りに詳しいアサヒが僅かに勝っていた。
ヒナタは声を出すことが出来なかった。そこにいるのは間違いなくアサヒだ。アサヒと呼ぶことも、二人の間に割ってはいることも出来なかった。身動きが取れないヒナタはさぞかし間抜けなことだろう。見渡せば、リークがゆっくりと足を進めていた。ゆっくりと、ゆっくりと……。かと思うと、突如リークは跳んだ。刀で打ち合うエイジとアサヒの間に瞬くような速さで身体を割り込ませると、片手でエイジの刀の柄を、反対の手で刀を持つアサヒの片手を掴んだ。
今までゆっくりと動いていたリークとは思えない身のこなしと、力の強さであった。二人の動きを止めると、リークは遠慮なくエイジの足を取り、地に倒した。アサヒもリークに負けておらず、腕をねじるようにリークから逃れた。そして、躊躇うことなくリークに斬りかかった。




