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dark.dark  作者: 相原ミヤ
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アサヒとの再会(2)

 ヒナタたちはアサヒを探して先へ進んだ。エイジは車のハンドルを握り、鼻歌混じりにハンドルを切っていた。これまではリークの勘で先へ進んでいたらしいが、今は違う。エイジたちはボルトのナビゲーションに従って進んでいる。車のヘッドライトはバイクのそれよりも遥かに明るいが、それでも暗闇は深い。

「それにしても、ボルトは凄いな」

エイジはボルトに感心していた。

――照れるだろ。ヒナタは俺を褒めやしないから。それよりも、リークの力は本物だな。闇の生き物たちが逃げていく。クロムカデも、サンズグモも、近づいてくるが一定距離から進入してこない。

ボルトはリークに感心し、リークの力を認めた。つまり、本当にリークが一緒にいると何も襲ってこないのだろう。

 三十分後、闇の中に明かりが浮かび上がった。そこは、人が住んでいるはずの無い場所だが、人が住んでいる証がある。闇の生き物たちの巣の中心に、家が作られている。小規模ながら、地熱発電もあるのだろう。暗い闇へと昇る蒸気は、地熱発電によって電気が作られている証拠。地熱発電を持つということは、定住しているということだ。この地の外れで定住している酔狂な者がいるとすれば、アサヒの他にいない。

――相手に捕捉された。あまり歓迎されていないな。相手は一人。

「アサヒか?」

ボルトの警告にエイジの声は上ずっていた。ヒナタは無意識のうちに長銃を組み立てていた。アサヒがこちらを狙っているのならば、こちらも用意をしなくてはならない。

――大きさが違う。子供だ。ヒナタ、撃つな。

ボルトがヒナタを制したが、ヒナタは警戒を解くことが出来なかった。

――右へ回避!

珍しくボルトが声を荒げた直後、エイジは鋭くハンドルを右へ切った。同時に、車のタイヤの近くが撃ち抜かれた。

 ヒナタは反射的に長銃を車の窓からのぞかせて、家を狙った。長銃のコードを引き出し、ボルトに繋げたのも無意識のうちの行動だ。

――止めねえか!相手は子供だ!俺は照準を合わせねえぞ!

ボルトが叫んだ。しかし、このまま攻撃されるわけにはいかない。ボルトが照準を合わせないのなら、ヒナタは自分で狙うつもりだった。

「うるさい!」

ヒナタはボルトに反した。ヒナタがスコープを覗き込んだとき、車が急停止した。

「止めろ、ヒナタ」

エイジが車を止めてヒナタの長銃に手を伸ばしていた。

「触らないで」

ヒナタは長銃を持つエイジの手を振り払った。振り払っても、振り払っても、何度も何度もエイジは長銃を掴んだ。

「相手は子供なんだろ。止めろ。大丈夫、俺たちにはリークがいる」

エイジが制した直後、家に向かって歩く影が見えた。ひらり、ひらりと歩くのは、毛布をずるずると引きずって歩くリークの姿だった。

「リーク?」

ヒナタは思わず窓に顔をつけた。先ほどまでは昏々と眠っていたリークが今、外を歩いている。

「サンズグモの時も同じだった。リークは何かあると起きるんだ」

エイジはヒナタの長銃から手を離し、ヒナタの肩を叩いた。

「大丈夫、リークに任せよう」

ヒナタはひらり、ひらり、と無防備に歩くリークに目を向けた。小さくスキップをするように、ひらり、ひらり、と狙われていることに気づいていないようだった。

「でも、相手は銃を……」

ヒナタが言った直後、乾いた音が響きリークの身体は小さく後ろへ飛ばされた。地に倒れることは無かったが、リークが撃たれたことは明らかだった。

「リーク!」

ヒナタは車から飛び降りた。長銃の破壊力は、ヒナタが一番良く知っている。闇の世界で生きる生き物たちの甲殻を撃ち抜く長銃の破壊力は、人間が耐えられるようなものでない。希望の光が消えたと、ヒナタが思ったのは一瞬の事。次の瞬間にはリークは平然と手の平をひらひらと振った。ひらひらと手を振るリークの手から、長銃の弾丸が零れ落ちた。

「え?」

ヒナタは全てが信じられなかった。リークにとっては、何の武器も意味を成さないのだ。乾いた破裂音が二度響いた。しかし、リークは歩みを止めない。無防備に、ひらり、ひらり、と歩くリークの周りに金色の光が溢れ、銃弾を受け止めているのだ。


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