表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

弱虫な自分

静けさが辺り一面に広がる夜の海。

こんな時間に人間二人がいていいのだろうか・・・

そもそも、ここで働いてる係員?っていうのかな?

ここらへんに安全確認で来るもんだと思ってたのだが・・来ない。

俺は今、体が疲れて動くこともままならない程・・・と言うのは過言だが、さっきから中々寝付けない。

ひとまず彼女を起こそう、親が心配するだろうし。


「おい、起きろよ!」


しばらく肩を揺らしていると、彼女の目はゆっくり開いてきた。


「え・・・あれ!?今何時!?」


把握しきれない状況の中、彼女は驚きを隠せず叫んでいた。

今の発言からすると自分が溺れていた事など忘れて、ずっと眠っていたなどと勘違いしているのだろう・・・。


「君、海で溺れてたんだよ」


混乱している彼女を制するように俺は言った。

すると彼女は俺の存在に気付いたらしく、


「そう言えば私・・・綺麗な貝殻を見つけて、追いかけていたら潮に飲まれて・・・

じゃあ、アンタが私を?」


いきなり初対面の女に「アンタ」って言われたらキツイが、ここはグッと堪えた。


「そうだよ、結構助けるの大変だったぜ!」


すこし照れている感じで俺は苦笑いをした。

すると彼女は


「誰が“助けて”なんて言ったっけ?

正直余計なお世話なんだけど?」


・・・・・・

俺は彼女が次に言う言葉を分かっていたつもりだった。

命がけの救出など棚に上げて、余計なお世話と話をまとめる彼女・・・少しムカついた。

でも、彼女もいきなりの出来事を前に素直になれないだけだと思う。

(まぁ確かに彼女は“助けて”なんて言ってないし・・・ハハ・・ムダ骨だったな。)

俺は何も言い返さなかった。いや、何も言い返せなかったのかな・・・。


「何よ、その“お礼の一つでも言ったらどうだ”と言わんばかりの顔は?

調子に乗らないでよね!じゃ、私は帰るから!」


そそくさと帰る準備をしている。

説教の一つや二つ、当たり前だよこんなヤツ・・・。

あれ?だったら説教してやればいいじゃないか!

なのに・・・何でできないんだろう・・。

弱虫だな、俺・・・・・・。

やがて彼女の帰る姿が目に映った。

その姿を見守るように俺はしばらく、その場に座っていた。

やがて俺はびしょ濡れの状態だが、何も言わずに帰路を行く事にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ