プロローグ
沖縄に暑い季節がやってきた。
真っ黒にこげた肌が印象的な島人、透き通るような色鮮やかな海。
この世に新しい命として誕生して16年、そろそろ彼女がほしかった・・・
まだフリーの俺(山口和也)は友人の岡田と海水浴に来ていた。
「暇だね」
岡田はそう呟いた。
「そうだね」
と俺も言った。
何しに来たんだろうか・・・
海水浴も案外つまらんな、男だけじゃ・・・。
するといきなり岡田はこの雰囲気を振り払うような発言をした。
「ジャンケンで負けた人女ナンパしようぜ!」
また、そういう事を言い出すんだからコイツは・・・
まぁいっか!
「分かった、ジャーンケーンポン!」
・・・・・・・・・・・・
負けた。
「あひゃひゃひゃ!お前の負けだ和也!」
「はいはい・・行ってくるよ」
周りを見渡して俺好みの女を捜す。
俺も馬鹿じゃないから
「へい、彼女〜
などと言う、ありがち不埒野朗ではない。
ここは正攻法で行くまでだ!
(何で場慣れしてるような発言をしているんだろうか・・・)
発言はしてないけどな、まぁいい。
一通り見渡していると、髪型、顔、スタイルと壷にハマる理想の女を発見した。
男の勝負をここで投げ捨てるワケにはいかないけど、やはり緊張する。
年にしてまだ純情少年な俺だった・・・。
(制限時間なんてないんだ、タイミングだよタイミング)
とりあえず彼女が見える日なたの浜で座って様子を伺った。
(国民よ、この俺をストーカーなんて思わないでくれよ)
やがて日が暮れてきた。岡田からメールがきた。
『何してんだよ、さっさとやれっての!
もう遅いから俺は帰るけど、お前はナンパの続きやっとけよ!
お前に彼女ができるかどうかの企画なんだからな!』
(いつからそういう企画が設けられたのだ岡田よ・・・)
あえて返信はせず、心の中にしまっておいた。
さて、いい加減話しかけないと夜になっちまう。
まだ彼女の姿は確認できるが何やら友人と話している様子。
そして彼女は海に向かって走っていった。
「あの子まだ遊び足りないのか?」
まぁ良しとして、どういう風に勝負に出るかな・・・・・・
少し考えて頭の中で整理がついた。
(彼女と海で遊ぼう)
早速勝負に出ることにした俺。
しかし、俺たち二人にはとんでもない事が待ち受けていた・・・。