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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
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すごろく状のボードゲーム

アンジェラは事情を聞くと、しばらく長い腕を組んで考え

「……関係ある話だから、もう明かしてしまうけど、この国の古代遺物はすごろく状のボードゲームの形をしているの」

「そうなんですか?」

すごろくなら知っている。マスで区切られたステージをサイコロを振ってゴールを目指して行く遊びだ。子供の頃、実家で両親と遊んでいた。

「遊ぶことで未来予知ができるのよ」

黙って聞いていると

「本体はアンリミテッドボードと呼ばれていて、王都の宮殿中庭に設置されててね。役所に申請が通れば誰でも遊べるようになっているわ。十年先まで予約待ちだけどね」

「本体?誰でも遊べるって……」

想像していたものと全く違う。

「携帯端末的な子機もあるのよ。こっちは王族しか持てなくて、様々な形をしているの。……恐らくエロマンさんが見に行った絵画は……」

急に寝室に気配が増え

「リメイクボードじゃ」

先ほどの空で訪ねて来た老人が立っていた。


 驚く俺と対照的にアンジェラは落ち着き払った様子で

「デスティンさん、リメイクボードは確か、見るものの魔力を吸い取り、その代償に見たいものを見せる機能でしたよね?」

老人は穏やかに微笑みながら

「その通り、映像すらも映る。無断で王族の魔力を吸引した代わりにエロマンをどうにかしてくれんかね?」

どうやら老人も、リブラーがエロマンから魔力吸引したのが分かって訪ねてきたらしい。リブラー色んな人に迷惑かけすぎだろ……。アンジェラは冷静な表情で

「改名すればよろしいのでは?」

デスティンは苦笑いしながら

「母親が考え抜いて付けた名前なのじゃ。エロマンという名は、母のマロンの音を全て含む。そしてエローヌ神の御名も入っておる。改名は難しいじゃろうな」

アンジェラはため息を吐き

「絶望的に娘の未来に対する想像力とセンスがなかったのね」

デスティンは微笑みながら

「その逆じゃな。あえて困難を選ばせとる。王族として勘違いせぬように」

アンジェラは俺を見てくる。


 何かよく分からないが

「あの……デスティンさん、どうしたら……」

老人はこともなげに

「狭い中で自らの性欲とだけ闘っているあの子に、広い世界を見せてやって欲しい。有能な炎属性の使い手じゃ。役には立つと思うが?」

何と連れて行けと言ってきた。アンジェラが困った表情で

「王族を誘拐しろと?」

「そこはあんたらの腕の見せどころじゃな。君はどうにかできるじゃろ?」

全て見透かした澄んだ目で俺を見てきた。もうこれは仕方ないので

「リブラー」

と呼び出す。


 エロマンさんを仲間にする方法ですね。先ずは酒場に居るフォッカーさんを呼び寄せて、デスティンさん、アンジェラさんと共に彼女の寝室へ行きましょう。その際、フォッカーさんは着飾って行くとよいでしょう。エロマンさんはフォッカーさんの様な糸目の若い男性が好みです。更にフォッカーさんにエロマンさんを冒険に誘わせてください。それで万事上手くいきます。リメイクボードも見ることができるでしょう。


 俺は今聞いた内容をアンジェラに説明する。老人には隠しても無駄そうなので気にしないことにした。アンジェラは納得した様子で

「ここまで読んだ末に、エロマンさんにちょっかいを出したか……」

そう言うと、黙って窓から街へと飛んでいく。老人と寝室に残された俺が唖然としていると彼はベッド脇に座ってきて同情した表情で

「……大変な運命じゃな」

「俺のことなら気にしないで良いですよ。いい思いもしてます」

してると思う。多分……。

「……エロマンを頼む。一応宮殿までは付いていくが、わしは先王との約束でここから離れられん」

「頑張ってみます」

アンジェラがフォッカーを抱え、室内に戻ってきた。


 酔ったフォッカーは事情を話すとノリノリで引き受け、デスティンがいつの間にか持ってきた背中に2枚の羽根の飾りの付いた貴族服を素早く着込み、自信満々で

「まーかせてください!王族娘如き一発で落として見せますよ!」

大声を発し、リースが起きてきた。


 リースにも纏めて今までの事情を俺ができるだけ短く説明すると、両眼を輝かせ立ち上がり、老人へと

「ヘグムマレーの娘、リース・ウィズと申します。デスティン・サーガ様、伝説にお目にかかれて光栄です」

貴族式の恭しい礼をした。老人は微笑みながら全く同じ礼を返すと

「リース・ウィズ殿、婿殿は裏表のない善き人じゃな。大切にするが良い」

リースは嬉しそうに俺の横に座り手を握ってくる。アンジェラが頷くと

「じゃあ、フォッカーさんをデスティンさんが抱えて、二人を私が抱え、エロマンさんの所へひとっ飛びでよいかしら?」

老人は黙って頷いた。


 アンジェラに抱えられ、窓から飛び出ると本当にひとっ飛びで宮殿の寝室内だった。間違いなく先程リブラーに見せられた部屋だ。エロマンは居ないが、廊下から足音が響いてきて、扉が開くと

「よしっ!私は今日もエロの誘惑に勝った!……何だお前らー!むぐぐ……」

入ってきた、ネグリジェ姿で茶髪を後ろで束ねた鍛え上げられた身体の女性の背後に回り込んだアンジェラが口を抑え、ノリノリのフォッカーが近づくと

「エロマンさん!俺と世界に旅立ちましょう!」

エロマンは両眼を見開き、アンジェラがサッと口を離すと頬を染め

「くっ……超かっこいい王子様……ほんとに居たのか……だが私は……」

俺は何故かフォッカーの背中を突き飛ばしてしまう。フォッカーは顔面をエロマンの顔に突っ込ませ、そのまま抱き合ってキスをした。リースは難しい表情で腕を組み

「サナーちゃんには黙っておくべきか……」

などと呟いている。超展開に付いていけてない俺は胸の動機が止まらなくなりつつある。

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