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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
宿主の可能性の追求と試行期間の続行

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休暇プラン

いつもの傭兵会社本社へと戻りシーネに案内された俺たちは、いつもの応接間でテーブルにズラッと一列に並んで待つ。

いつもと違うのは、一人や三人じゃなくて、七人並んでいることだ。

いつも通り不機嫌な少女を連れ、車椅子を自ら片腕で回してきた社長が

「今日は多いな……」

とニヤリと呟いて、俺たちの反対側に着いた。その隣の椅子に座った少女はまず俺をモノクルで確認して

「……レベル32ですね。他はスキル構成変化なし。他の者も前回よりレベルが3~7あがっただけで……あら……」

少女はリースをジッと眺め、社長に耳打ちする。

社長は噴き出しそうになりながら

「ふっ、悪くない。ナラン、話はローウェルからは聞いている。お前の家の周囲の廃墟を、お前の部下四人に与える。ナラン部隊として、今後は任務に励むように」

心配そうだったフォッカーたちは安堵した顔で頭を深く下げた。

社長は手を軽く払いながら

「ナランと副長二人に話がある。他四人はローウェルから新しい家について説明を受けろ」

フォッカーたちは頭を下げて出ていく。


俺とリースとサナーが残されると社長がニヤニヤしながら

「プライバシーには立ち入らないようにしているんだが……。悪いが、リース様に"ナランへの愛"のスキルが発現している。これは、ほぼ消えない。お前は逃げたらダメだぞ?」

「……あの」

俺が何か言う前に少女が

「ふーっ」

と大きなため気を吐いてから

「リース・ウィズ様から愛されたのよ。おめでとう。あとは結婚したら王族の仲間入りね」

俺が黙ってリースを見つめると、キラキラした瞳で見返してきた。

当然横で話を聞いていたサナーは顔を真っ赤にして耐えているようだ。

「それで、前回の任務では、前線に王族であるリース様を出したようだが?」

社長はニヤニヤしながら俺を見つめてくる。

「い、いや……なんか人手が足りなくて……」

リースが半ば前のめりに立ち上がりながら

「ナランの行くところ、私はどこでもついていくわ!」

社長に言い放った。サナーもいきなり立ち上がり

「私もだ!!」

と何故か社長をビシッと指さして宣言した。社長はたまらずに笑い出して

「馬鹿ども!!若さとはいいな!」

しばらく笑い続けると

「まあ、ナラン、他はいいがリース様を傷つけるなよ?いいな?私はお前の能力を信用しているが、そのようなことになったら、お前を国に突き出して、処刑させるしかないからな」

またなぜかサナーが立ち上がって

「私も気を付ける!!ナランに迷惑はかけられないからな!」

謎の宣言をした。少女が皮肉めいた笑みと共に

「奴隷が王族と張り合っていますね」

そうボソッと言うと

「はぁ、やってられません」

と少し大きな声で言って、社長から札束を受け取り、サッと出て行った。

社長は、ニヤニヤしながら

「行け。二週間ほど休暇を与える。終えたら高レベル任務だ。今回のインキュバス撃破と敵士官捕獲の報酬は家に届けてある」

そう言って俺たちを解放した。


送迎の荷馬車に乗り、三人で殆ど喋らずに家に戻るとリビングのテーブルを囲んでフォッカーたち四人とローウェルが何やら食べながら談笑していた。

サナーが疲れ果てた声で

「あの?ここ、私たちの家なんだが!!」

顔を真っ赤にして怒り出したので、俺が宥めつつ

「ローウェル、社長から二週間の休暇をもらったぞ。皆はなんでここに?」

ローウェルが機嫌よく笑いながら

「ちょうど話してたんだよ。今回、ナランに一千万イェンの報酬が出たから、そっから百万ずつ四人でもらって、家を直そうってな!」

と言いながら脇の皮袋からドンっと分厚い札束を取り出してテーブルに置いた。

サナーが勢いよく取りに行こうとするのをリースと俺の二人がかりで止め

「……ああ、そうしてくれ。追加で二十五万ずつ生活費として、四人それぞれ持って行っていい」

フォッカーとゴッツは黙って頭を深々と下げ、デイはニヤーッと笑って胸の前で腕を組んで謝意を表し、コザーが手を挙げてきたので

「何か質問でも?」

「隊長、副長さんたちに飽きたら、私もどうだ?インキュバス戦で見たあんたのアレは悪くなかった」

真剣な顔で言ってきて、ローウェルが噴き出しながら

「だってよ!?どうすんだ?」

顔を真っ赤にしてコザーに突っかかろうとするとサナーを、リースと二人がかりでまた止めながら

「いや、悪い。間に合ってる」

というと、コザーも含めて座っている五人が爆笑した。

冗談だったのかと俺はホッとする。


ローウェルがあとは面倒見てくれると言うので、金を四人に百二十五万イェンずつ渡して帰らせる。

三人になると直ぐにサナーが、残った五百万を金庫に入れて閉めていた。

リースはニコニコしながら

「まずはみんなでお風呂よね?」

と言ってきたので、断ろうとするとサナーも

「……お風呂だよな?」

怖い顔で迫ってきた。

とりあえず沸かしてもらってその間に装備を部屋に脱いで置き、一階に戻り軽食をとることにする。もう深夜だ。


無言でテーブルを囲んで乾パンや干し肉を齧る。

ローウェルが気を利かせて安いワインも数本置いていってくれたので、それで皆で水分を取っていると、サナーがテーブルに突っ伏して寝始めた。

「子供かよ……」

「子供ねぇ……」

リースと同時にそう言ってしまい、同時に苦笑いする。

「悪いけど、浴室でサナーの身体拭いてやってくれない?二階には俺が運ぶから」

「いいよ。でも、その後にお風呂よね?」

「わかったよ」

確かに俺たちは戦場からそのまま帰ってきているので相当に汚い。


サナーを寝かした後にリースと風呂に入る。

身体を洗い合ったりして、二人で狭い浴槽で相対して浸かっていると

「休暇どこにいく?」

「どうしようか」

リースは俺の背中に手を回してきて

「私、ナランの生まれた家とか見たいなぁ」

「……実家かあ。どうだろう。帰っても超絶馬鹿にされるだけだと思うけど。あ、そうだ。サナーにエロい事させてゴブリン語教えてた馬鹿を小突かないと……」

地元の有名物知り性犯罪者ボニアスをちょっと締め上げておかないといけない。

リースは興味深げに

「そんなことあったの?」

「ああ、他にも自分の身体を対価に色々してたみたいだ」

リースは複雑な顔で

「奴隷だからか……ねぇ、その辺りも知りたいな。サナーちゃんとももう友達だし」

「知らんでもいいことだよ。あいつも実家帰ってもいい顔はされないだろうし」

リースはニコリと笑って俺を抱きしめてくると

「私に考えがあるよ。お父様にも手伝ってもらいましょう」

と言うと、胸元にキスをしてきた。


その後、結局、リースの部屋で酔った勢いもあって延々と二人で果てるまでやり続けた。

今後はちゃんと窓は閉めておいたので、見られる心配はない。

必死に求め合って、ベッドや床の上を転げまわってお互い獣のように声を上げて、半ば現実ではないような感じで、意識がなくなるまで求め合っていたと思う。



「……なんで、ナラン、いつも性欲に負けてしまうん?」

ペチペチと頬を軽く叩かれて起こされる。

「……ん?」

目を開けると、顔を真っ赤にした一糸も纏わぬサナーがシーツを取り払われた俺の身体の上に跨っていた。

「おはよう……悪いけど、もう立たないぞ……」

サナーは顔を真っ赤にしたまま

「そ、それでもいい……わ、私も、触ってよ……。リースも……いいって言ってるでしょ……?」

と俺の隣でスヤスヤと寝ているリースをチラチラ見つつ言ってくる。

少し考えて、ああ、前回途中で邪魔入ったな。

確かにリースも気にしてはなかった。

その細い浅黒い体に手を伸ばそうとすると

家の外からフォッカーの声で

「あのー!!隊長ーー!ちょっと報告がー--!」

と聞こえてくる。サナー残念そうにサッとベッドから飛び降りて窓を開けると

「なんだー---!!隊長はお休み中だぞ!」

思いっきり上半身を出しながら勢いよく言って

「副長!!乳とへそが見えてますよ!!」

フォッカーから笑いながら突っ込まれると慌てて窓を閉め

「ちょ、ちょっと待て!!服着てなかった!」

リースのクローゼットから上着を着て羽織る。さらにフォッカーが

「あの!そんなことはいいんで!隊長起こしてください!」

「そんなことってなんだ!!見た分金を払え!」

俺は仕方なく上半身を起こして、ゆっくりと窓際に向い顔を出し

「フォッカーさん、どうした?」

馬小屋しかない殺風景な庭に居た、布の服姿のフォッカーはホッとした顔で俺を見上げ

「副長とやってる最中にすいません!あの!元村長って人が!輸送任務中にゴブリンの群れに襲われて下半身裂傷と全身打撲を負ったとのことです!」

どっから返したらいいのかと迷っているとサナーが横から顔を出し

「ああ、そうだ!私とやってた!元村長は命に別状はないのか!?」

フォッカーは頷いて

「以上です!じゃあ、休日をお楽しみください」

と軽く敬礼すると、すばやく駆けて庭から出て行った。

リースもいつの間にか起き出して聞いていたらしく

「下半身裂傷……つまり、ゴブリンから下半身を弄ばれてたのね……」

「よく生きてたな……というかよくあの元村長を弄んだわ……」

サナーも腕を組んで真剣な顔で

「ナランから離れるからだ。結局、私たちはナランが居ないと駄目なのに」

俺っていうかむしろリブラーがいないとダメなんだろうなと思いながら、部屋から出て行こうとするとサナーがベッドに飛び込んでこっちをやる気満々で見てくる。

「邪魔者は去ったし、三人でやらない!?」

リースは苦笑いしながら、俺を見てくる。

さすがにそんな体力はない。腹も減った。

それに元村長の話を聞いて、完全に現実に引き戻されてしまった。

「ごめん、今度にしないか?」

サナーは歯噛みしながら何とか頷いた。

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