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冴えない俺が、何でも教えてくれる魔法を手に入れたけど……  作者: 弐屋 丑二
特定監視対象スキルの観察とデータ収集

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解呪

 アンジェラは黒髪から三本の紫角が生えている男子を足元に降ろし、目を回しているリースを俺に渡してくる。そしてガヤガヤと集まってきた亡者とスケルトン達の方を向き

「サナーちゃん!」

声をかけた。サナーがニヤニヤしながら進み出て来ると、アンジェラの足元で気絶している小柄な悪魔男子の横にしゃがみ込み

「よーし!サナーにゃんにゃん奴隷軍団よ!五十年操られっぱなしの哀れな悪魔の解呪を行うぞ!さっき教えた通りに儀式を手伝え!」

亡者とスケルトン達は、悪魔男子の周囲を遠巻きに取り囲む。サナーがサッと右手を上げると、全員服をたくし上げ、腹を突き出し、一斉に

「ポポンにゃん!ポポポンにゃん!」

の掛け声と共にペチペチと腹を打ち鳴らし始めた。服も腹もないスケルトンは腹辺りの骨を打ち鳴らしている。当然ナズナも顔を真っ赤にしてやっていて、意識を取り戻したリースが異様な光景に

「ナラン……なにこれ……」

「サナーが解呪するんだと」

変な雰囲気の中、サナーは真剣な表情になると

「うううううう!!二つ尾の女神の加護を持つサナー・ミニジーオが命じる!この者の呪いよ!解けよ!」

そう叫んだ。同時に辺りに光が満ち触れ、半透明で白く発光している巨大な右手が現れ、気絶している悪魔男子の身体に微かに触れるとすぐ消えた。


 謎のポポンにゃんダンスをしていた亡者達も呆気に取られた表情をしている。まさに神聖な奇跡を目撃して、思わずリースと抱き合っていると、ローウェルが冷静な顔で

「ハイプリーストのお祓いと同様だな」

アンジェラが悪魔男子に横にしゃがみ、ジャケットから出した手帳をチラチラ見ながら

「……オオウワガ工業所属の……マルコシアス、フクガナハラさん、国から救助に来たアンジェラと言います。聞こえますか?」

「う、うーん……あれ」

ボサボサの頭を触りながら、悪魔男子は上半身を起こすと、アンジェラを見て

「あ、アークデーモンの方ですね……あの僕、状況が……確か、会社の仕事で地上のタリア廃墟群に……」

アンジェラはサングラスを外すと微笑み

「落ち着いて聞いてくださいね。状況を説明しますので」

そう言った。


 離れた場所でフクガナハラとアンジェラが話をしている間、サナーは亡者達に

「お前らー!よくやった!これからも頼むぞ!」

スケルトンが手を上げてサナーが指差すと

「サナー様!ポポンにゃんをする意味が分かりません!」

サナーはニヤリと笑い

「これだから素人は困る。なあ、ナラン?」

何故か俺に話を振ってきた。余裕そうな顔をしているが、真剣に困っていることが俺には即座に分かったので手招きをして耳元で

「解呪力増強のための儀式とか言っとけよ」

どうせ勢いでやらせてるだけで、何も考えていない。適当な理由付けで十分だと思う。解呪のやり方は飛行船内でローウェルに習っていた本物の技法だが、謎のポポンにゃんダンスなど、彼は教えていなかった。

「そ、そうだな」

サナーはすぐに亡者達の近くに戻ると

「本当は複雑な方程式とか詠唱短縮とか色んな理由があるが!要するに!解呪力増強のための儀式だ!大事なんだぞ!」

亡者達とスケルトンから心底驚いた感嘆が漏れる。リースが俺に小声で

「サナーちゃん、無理してるでしょ」

「だなー……あいつ意外と繊細だからな」

とりあえず放っておこうと思う。それよりも空中に一度拐われたリースが気になるので、身体に異常が無いか尋ねていると、アンジェラがフクガナハラを連れて戻ってきて

「置いていくと危ないから、我々と同行する事になったわ」

と言ってくる。


 更に同行者を増やした俺たちはガヤガヤと、またも緊張感ゼロの状態で、不穏な森に侵食された廃墟群を進んでいき、薄暗い対岸と分断するように流れる大河へとたどり着いた。河原で立ち止まった亡者達が

「サナーさん!サンズリバーです!もうちょっとしたら渡し船が来ますけど、金を払わないと乗せてくれません」

サナーは少し考え

「ボコったら船穫れるか?」

「小舟です!全員は渡れねえです」

「この河は流れが変で素人が船で渡るの難しいです!」

「ヨシッ!とりあえず話を聞いてみよう」

しばらく待っていると、苔むした誰も乗っていない小舟がひとりでにこちら岸へと渡ってきた。そして半透明なフードを目深に被った男が小舟の上に現れると

「1人……42イェンだ……」

全員分余裕で払える少額を言って来て、安堵したローウェルが払おうとポケットを探り出すのとほぼ同時に何故か激怒したサナーが

「お前!ボッタクリマンだな!集めた金はどうしているんだ!」

「……浄財だ。河に捧げている」

「嘘だ!めっちゃ金貯め込んで裏で投資とかしてるだろ!サナーにゃんにゃん奴隷団!解呪モードだ!絶対こいつ呪われてる!」

亡者達とスケルトンは戸惑いながらも腹を突き出し

「ポポンにゃん!ポポポンにゃん!」

必死にそう唱えながら腹をペシペシ叩き出した。サナーは力を入れ

「二つ尾の女神の加護を持つ!サナー・ミニジーオが命じる!この者の呪いよ!解けよ!」

半透明な男を指差した。同時に男の全身が光輝き

「おおおおお……神よ……」

感動した様子で昇天して消えて行った。後には苔むした小舟だけが残る。ローウェルとアンジェラが同時にため息を吐いて、サナーは冷や汗を垂らしながら俺を見てくる。頼むからこっちを見ないで欲しい。

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