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第10話:いきなりの寵愛②

 

「それにキーラ。お前の髪は美しいな」

「ほげえ!?」


 ええええ!?

 ちょっと、待って。

 ああ、びっくりした。髪、髪ね。髪限定ならまだわかるかも。

 だってこの白銀の髪、お母さん譲りのプラチナだし。


「どうした」

「い、いえ……あの、びっくりしたので。ありがとう、ございます……」

「事実だ。月の光のようだな。帝国ではあまりいない色だから俺もお前を最初に見た時はびっくりした」

「……そ、そうなんですね」

「月の女神かと思ったぞ」


(ちょ、ちょととお……!!)


 もう、施術どころじゃない。

 一旦、手を止めて、わたしは陛下を見つめる。

 この人、なんなの……? 帝国って女性を口説く授業でもあるの???

 でもその澄み切った空色の形のいい瞳は、「どうした?」って真顔だし、相変わらず彫りが深くてランプの光を反射して、こう影が出来ているせいでスッと鼻筋が通っているのがはっきりとわかって格好いい――じゃなくて!!!


「う、うちの国では白魔術を使う一家はこういった色味が多いので、めずらしくないですよ」

「そうなのか。でもこんなに綺麗なのは、きっとキーラだけだろうな。今まで見た髪の中でいっとう美しい」

「………」


 エ、エンジュ陛下。

 めちゃくちゃしゃべるだけじゃない。

 なんなの……、なん、なの!?


「あと、これは……ずっと聞きたかったんだが」

「はい?」


 まだあるんかい!と突っ込みつつ、もう何でも来いと開き直ったわたしに爆弾が降ってきた。


「その透けている服は……寒くないのか?」

「……はいぃ?」


 わたしは思わず声を漏らして固まった。


 今夜のスケスケセクシーナイトドレス~陛下の夜伽に向かう皇后仕様~は白いレースで縁取られた、水色のヒラヒラスベスベしたやつだった。

 例のごとく来るまではガウンを羽織っているけど、施術中は暑くなるから脱いでいるので今夜も今夜とてわたしは、上半身裸の陛下とそのスケスケセクシー以下略で向かい合っていたわけで。


 も――――!! 

 今更!!


 指摘されて、急に恥ずかしくなってくる。

 寒くはない、けど……。けど……!

 何でいまさら、指摘するの!?


「い、今更ですかぁ!?」

「ずっと気にはなっていた」

「じゃあ聞いてくださいよ! こ、これ陛下のせいなんですからね!!!」


 そういってわたしはまくしたてた。


 そもそも呪いのことはいえないので、夜な夜な陛下の部屋に通う理由が「夜伽」であると侍女さんたちには認識されているということ。

 そして、まぁ、夜伽のためには陛下にこう、グッと来ていただく必要があるわけで、こんな衣装が皇后側にはいっぱい用意されておりまして……と。


「夜中に皇帝陛下の部屋に通う皇后として、唯一、納得のいく理由がこれだから着てるんです!!! あ、あんまり触れないでください、わたしだって恥ずかしいので!」


 あわててガウンを羽織って隠そうとするわたしに、陛下はあくまで真面目な顔で言った。


「すまない……。その、王国式の解呪に必要な要素なのか、と思っていて」

「……どれだけ王国民が変態だと思われてるんですか……。こんな衣装着ないと解呪できないとか」

「だが、キーラにはどれも似合っていたから」

「!!!」


 脱力するしかなかった。

 なんで、そんなことを恥ずかしげもなく真顔で言えるんですか?

 しかも、そういうってことは今までのアレコレ、全部見てたんですよね??

 今まで、ずっと思ってたんですか???

 いや、むしろわたしの服装について考えてたんですか? 変な意味じゃないですよね!?


「次からは、普通の寝衣で来てくれてかまわない。――すまなかった」


 真顔で謝る陛下がなんだか可愛くて、恥ずかしくて混乱の渦にいるわたしは思わず笑ってしまったのだった。



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