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仲間たちと布団

今日は仲間たちと布団に入った。


仲間とはヒヨコとジンベエザメとマナティーの

ぬいぐるみである。


これで今日は寂しくない。

みんなに「おやすみ。」と挨拶して眠りにつく。


仲間たちもきっと寝ているのかな?


マナティーは水草を食べながらゆったりとしている。

時々、思い出したように腹筋トレーニングをして

体を鍛えていた。


今のうちに鍛えておかないと

いつかはおじさんになってしまうからね。


ヒヨコの子とジンベエザメは

お互いにわがままな性格でいつもケンカをしている。


ヒヨコの子は自分よりも後に仲間入りした

ジンベエザメに威張った態度。


ジンベエザメは小さいのにうるさいと

ヒヨコの子を威嚇している。

ヒレをパタパタさせたり、体をクルクルまわしたり。


仲良くしてよ。

そう思うのにどうも仲良くできないらしい。


そう思ったらヒヨコの子は

ジンベエザメの頭の上に乗って

仲良さそうにしている。


ケンカしても仲良い時はあるんだね。

そう思った。


目を覚ました僕はぬいぐるみたちに悩みごとを話す。


「友だちとケンカしてしまったんだ。

どうすればいいと思う?」


もちろん、ぬいぐるみなので何も答えてくれない。

だから自分で考える。


なぜ、ヒヨコの子とジンベエザメは仲直りしたのか?


ヒヨコの子はジンベエザメの頭の上に乗るのが

楽しかったから。


ジンベエザメは遊び相手になるヒヨコの子が

おもしろかったから。


そもそも仲直りなんてしていない。


ヒヨコの子はヒヨコの子で

ただ自分が楽しいことをしただけ。

ジンベエザメはジンベエザメで

ただ自分が楽しいことをしただけ。


そんなお互いの個性。

きっと僕の性格をうつしているのだろう。


この前、僕は先生に言われた。

君が2人いたら、2人でケンカするだろうって。


そんなわけないのに・・。


僕が2人いてもケンカなんかしない。

僕はちゃんと謝ることができるし、

協力できるし、わがままなんかじゃない。


僕はそう思って、ヒヨコの子とジンベエザメを見た。

笑っている。


反省がないので強制的に謝らせた。


「ごめんなさい。」

「ごめんなさい。」


はい、これで仲直り!


マナティーは相変わらず水草を食べている。

大きなあくびをした。


布団の中の秘密基地で

そんな人形劇が繰り広げられているうちに

だんだんと部屋の外は明るくなってきた。


夜が明けてきた。

どうやら気付かぬ間に寝ていたのかもしれない。

こんなにすぐに朝が来るとは思っていなかった。


僕はとりあえず仲間たちに挨拶した。

「おはよう!」


仲間たちはいつも通りに笑っている。


今日は休みの日だが、

習い事のスイミングスクールに行く日である。

あんまり日頃、運動をしないので

時々、体を動かすのは大切だ。


クロールのタイムをもう少し縮めよう!


でも、目覚ましの時間までは

まだまだあるので焦る必要はない。

その時間になるまで仲間たちと鼻歌を歌っていた。

大好きな歌やオリジナルのメロディーを奏でる。

そんな小さな音楽会の布団から見える窓の外の風景は

綺麗な青空で包まれていた。


白い雲が波のようで海の中のようにも思える。

布団の中を泳いでいる仲間たちと迎えるいい朝である。


こうやって朝を迎えられるのも

眠れない夜に守ってくれるものがあるからかもしれない。


それは家族や仲間たち、空想の幽霊さん。

僕の愛すべきものや想像力。

それらが布団の中の秘密基地で悩む僕に

夢を見せて新しい朝へ

連れ出してくれるのかもしれない。


しかし、これからどこか違う場所で

寂しい夜をむかえることもきっとあると思う。

その時のためにももっと強くならないとダメだと思う。

1人でも泣かないように。


今はここで安心して起きることができる。

そのことに感謝である。


僕は起きる時間が来て大切な仲間たちに

「ありがとう」と呟いて布団からでた。


僕がいたところだけ布団が膨らんでいる。

そこが秘密基地の跡。

また夜に帰るね。

そう思ってカーテンを開けた。

部屋に朝の光が差し込んだ。

とても眩しい光。


そんな光に包まれて

今日も一日、頑張ろう!

大きく背伸びをした。


(おわり)

最後まで読んでくださってありがとうございます!

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