アイツは俺が消した
退屈な日常――人生山あり谷ありと言うが、僕には無縁。ずっと平坦なままである。
そんな僕ではあるが、ささやかながら楽しみにしているものがある。
Web小説だ。無料かつ、スマホで空いた時間に読むことができるし、何より活字が苦手な僕でも分かるように書いてある。
人気の作品ともなれば、最新話が毎日更新される。文庫本と違って何ヵ月、何年も待たなくていい。それがWeb小説のいいところだ。
ただそれでもやっぱり、続きが待てない時がある。
Web小説の性質上、次の話も読んでもらうため気になるところで話が区切られることが多い。そのせいで読者側は悶々としてしまう。
僕はそういう時、その作品の感想欄を見るようにしている。
感想を書いたりはしないけど、他の人の感想を読んでいると思いの外時間が経って、いつの間にか新しい話が投稿されたりして丁度いい。
ただ稀に、感想の皮を被った作者への攻撃が存在する――。
投稿者 : かぷみーもん
◼️良かった点
なし
◼️気になった点
作者の願望が丸出しの展開でしたねww
リアルで彼女いないからって、
小説の中でハーレムとか馬鹿じゃないのww
◼️その他
こんな作品喜んで読んでる人は
作者と同じようにもてないんでしょうね
――正直、見るに耐えない。
この『かぷみーもん』は、僕のお気に入りの作品が更新される度に毎回こんなことを書く。
作品の展開が気に入らないのであれば、自分で好みの小説を書けばいい。
別に書かなくていいが、楽しんで読んでいる人がいるのだから、その人達の気分を害するようなことは止めてもらいたい。
こういう輩は変に相手にすると益々動きが活発になる。放置するのが一番であるものの、何もできないのはもどかしい。
投稿者 : かぷみーもん
◼️良かった点
あるわけない
◼️気になった点
ヒロイン達が主人公を満足させる
機械と化している。
何の葛藤もなく、主人公よいしょの一辺倒。
こんなのリアリティがない。
作者の歪んだ性癖が窺える。
◼️その他
もう更新するな、気持ち悪い
そして今日も、『かぷみーもん』は飽きもせずまた悪口を書いていた。
気持ち悪いのであれば読まないという選択肢がある。そうしないところ、アンチじゃなくて熱烈なファンなんじゃないかと思えてくる。
しかし、最新話が更新されてしばらくすると、『かぷみーもん』の書き込みは跡形もなく全部消えた。まるで最初から何事もなかったかのように。
本人が消したとは考えづらい。顔も名前も知らないが、『かぷみーもん』はそんなことをする人間ではないと画面越しの関係でも分かる
削除するとしたら作者だろう。作者にはその権限が運営から与えられている。
作者の活動報告を覗いてみると、案の定こんなことが書いてあった。
「アイツは俺が消した」
その言い回しに、僕は思わずクスッとするのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




