00 暁月の血祭
スマホ変える前に、新しい小説書く〜!
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世界樹…
それは、普段では目に見えない巨大樹である。
世界の心臓であり、脳である。
その世界樹が枯れ落ちるとき…。
世界は終焉を迎える。
世界の終焉を止めるのには…。
新しい[特異点]が必要。
数々の世界樹の中、一つ大きな世界樹があった。
この世界樹は異質で、世界が四つあるのである。
剣や魔法のファンタジーな世界が二つ。
科学技術が発達した世界が二つ。
この四つだ。
この四つの世界も一つの世界樹が滅びれば…。
四つとも終焉へと向かうだろう…。
ならば、特異点をつくらなければならない。
しかしそれは、神をつくることと同様である。
私達にできるだろうか?
いや…やらなければ、全ての世界が終わる。
たとえ、犠牲が出ようとも…。
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産まれて初めて見た光景は、白い壁の病室だった。
自分とそっくりだが、髪と目の色が違う赤子と泣きながら別れる光景が、目に焼き付いて離れない。
伸ばした手が届かず、連れ去られていくのをただ見ているだけだった。
ああ…またこの夢か…。
この夢を見ると、だいたい何かが起こる。
いいことも…嫌なことも…。
顔に雨粒が当たり目を覚ます。
ここは深い森の中。
辺りには薄く霧が立ち込めている。
「えっと…ああ…そうだ!剣の練習をしてたんだった!」
疲れて寝てしまっていたのだろうか?
あまり覚えてない。
立ち上がり、剣を握り、その剣を振るう。
すると、ドサドサっと木が数本切り倒される。
「少し…鈍ってる?…あの夢のせいで…集中できていないのかな?」
「おーい、お兄ちゃん」
妹の[雨]だ。
性別と性格が違うもう一人のボクと言ってもいいぐらい容姿が似ている、自慢の妹だ。
「どうしたの?」
「どうしたのって…アレだよ!霊の巫女!あれにボクたち兄妹四人全員選ばれたんだよ!」
「え…ボクも[花火]も男だよ?なんで入ってるの?」
「知らないよ?でも…霊との対話する力があるからじゃない?」
霊の巫女…それは、霊を導く存在。
霊を世界樹に導き、新しい命を生み出す存在。
たしかに、ボクたちにしか出来ないことだ。
「なら、早く帰らないとだね〜」
「みんな、待ってるよ〜」
木を拾い上げて軽々と担ぐ。
差し出された手を取り、その手に引かれて、ボクの住む村に向かった。
隠れ里のようなこの村は、人口を少なく小さな村だった。
「おい!帰ってきたぞ!」
「ただいま〜」
「またこんなに木を切ってきてくれたのか!」
「いろいろ使いうから、たくさんあった方がいいと思って」
「まぁ、そうだな!お前ら運ぶの手伝ってやれ!」
ボクは木を任せて、家に戻ることにした。
「ただいま〜」
「「おかえりなさい!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」」
[桜]と花火だ。
二人は双子だが、ボクと雨とそっくりな顔をしているため、四人でいると四つ子と間違われることもある。
「ただいま〜二人とも〜。ねぇ、お父さんとお母さんは?」
「村の付近に出た魔物を倒しに行ったよ?」
「そっか〜…あのこと伝えたかったのに…」
ボクは、しょんぼりする雨の頭を優しく撫でた。
「えへへ〜」
雨は目を細めて気持ちそうにする。
あの人達なら大丈夫だろう…。
だってこの世界の勇者なのだから。
みんなで、リビングで待つことにした。
少しすると、二人が帰ってきた。
お父さんとお母さんだ。
顔を見ると、二人を見ると少し元気がないように見えた。
「おかえりなさい…。どうしたの?」
「ああ…ちょっとな…」
「この前からあった失踪事件の話と関係があってね…」
ああ…やっぱりよくないことが起きようとしているのか…。
「獣化…か…」
「どちらかと言うと魔物化だね…」
「あいつを…この手で殺したと思うとな…」
「あなた…」
これは…祝い事をやる雰囲気でもないな…。
だが、『知っている』だろうが一応伝えておこう。
「お父さん、お母さん…ボクたちね、霊の巫女に選ばれたんだ」
「ああ…すまないな…それどころじゃなくなって…」
「わかってるよ」
「本当にすまない…。ああ…そうだ…もしもの時のために旅の準備をしておくんだぞ!お前らが無事なら…この世界は救われる」
いつも、聞かされていたこと。
ボクたちが無事ならこの世界は救われる。
生まれた頃からふんわりと自我があり、普通の子供より成長が早く、無駄に知識があるのは、このためだったのだろう。
言われなくとも知っている。
「さ…ご飯食べようよ!」
「まて、最後に一つ…。最初に向かう場所は[黒曜軍帝都]に向かえ…。[天音 雪]…」
「お父さん…。ああ…わかった。この、天音 雪、そうすると誓うよ…。そうすれば…知りたいことがわかるんでしょ?」
「ああそうだ…」
そう言うと、お父さんが頭を撫でてきた。
「すまない…子供に…背負わせるつもりは無かったのだがな…」
「知れるなら、それでいいです」
互いにそれ以来口数も段々と減っていった。
「「おやすみなさい…いい夢を…」」
そう言ってお父さんとお母さんが、ボクたち四人を奥の部屋において、見廻りに出かけた。
これが最後になるとは、思ってもいなかったであろう。
「さて…準備も終わったし…寝るか…」
「くっついて寝よ…」
「みんなで?」
「いいけど…何か…怖いの?」
「胸騒ぎがするからさ…」
ああ…ボクも同じ気持ちだ。
ボクたちはかたまりながら、浅い眠りについた。
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