第七話 子守唄と朝
寝れない。
理由はある。もちろん他人と同じベッドに寝るからってのもあるけど、それだけじゃない。
二人仰向けに寝るにはシングルベッドでは狭いからマリアナさんは横向きになってるわけだけど、
まず一つ。胸があたってる。てか胸が私の唯一の腕の上に置かれてる。
そしてもう一つマリアナさんはバランスを取るためか片腕を私に巻き付けてきている。半分抱かれてる。
これで寝られるかぁ!!一応会ってから半日ぐらいですよ??距離感おかしくない?
私仰向けにさせてもらってるから場所ないんだよね。
あぁさっき気づけば良かった。マリアナさん寝てるかな。
「寝られませんか?」
耳元で囁かないでくださいっ。
「いえ、なんというか。距離近いなぁって思って。狭いですよね。私横向きになるので、手伝ってもらっていいですか?」
「そうですかね。昨日もこんな感じで寝れたので大丈夫ですよ」
「そっかぁ…なら、大丈夫か…」
…ん?昨日??
「え、昨日も一緒に寝たんですか。」
「はい、昨日の朝リサーナさんを拾いまして、リサーナさん1日半寝てたんですよ」
そんなに寝てるとは思わなかった。それだけ疲れてたってことかな。昨日もこの体勢だったってことには触れない
「寝過ぎて眠れなくなってしまったのかもしれませんね、よろしければ子守唄でもお聞かせしましょうか?子供たちには人気なんですが」
「子守唄ですか…」
そんなに子供じゃないんだけど…子供に人気なのはわかるな。マリアナさんの声は透き通っていて冷たいけど、冷たさのなかに温もりを感じる気心地よさがある。
「---♪--♪」
答えに渋っていたら、マリアナさんが耳元でそっと囁くように歌い出す。
綺麗な歌声。聞き入っていたら眠気が襲ってきた。
1日半寝ても疲れが取れてなかったのかな…
チュンチュン
良い朝チュンを迎えました。隣の温もりは残っていない。
マリアナさん出かけたのかな。魔力を放出して確認する。
お着替え中でした。 タイミング!
私は何も見てない。私はまだ寝てます。もうちょっとしたら朝の挨拶をしよう。それまでは寝てたってことで。
グウゥゥ
私のお腹が鳴った。 タイミング!
「起きましたか?リサーナさんおはようございます。」
「…おはようございます。」
マリアナさんは気にしてないみたいだ。気づいてない可能性もあるけど。
「朝食はトーストです。今準備しますね。」
マリアナさんはそういってキッチンに向かった。
しばらくするとマリアナさんはトーストの乗ったお皿のほかに昨日に比べて具材が豊富に入ってるお粥とコップ、それと小型の杖を二本持ってくる。
「すいませんが私は仕事で夕方まで帰って来れません。なので、お昼のお粥と温めるための杖、水分補給用に水が出る杖を渡しておきます。」
「わかりました。ありがとうございます。」
通常魔法は杖がないと使えない。そして防犯のために武器として使われるような杖は町の中では使えないよう妨害する結界が張られている。そのため家事や日常生活で使う魔法はそれ専用の杖が普及している。余談だが警備隊や許可を得ている人間は妨害を受けない杖を所有しているため犯罪者などに狙われやすい。そのため警備隊はある程度の強さがないとなれない職業となっている。
「私は先に朝食を済ませましたので。私は仕事に向かいますが、リサーナさんは今日も体を休めてくださいね。」
そう言いながら扉に向かう
「ふぁーい。いってらっしゃい」
口にパンを含みながらなんとか言えた
「…」
と思っていたらマリアナさんは立ち止まって黙ってしまった
「マリアナさん?」
「すいません、初めて言われたので…いってきます。」
そう言って出ていってしまった。
そういえば、昨日は仕事なかったのかな。どんなお仕事してるんだろう。子供たちってお仕事と関係してるのかな。
マリアナさんのこと名前以外何も知らない。帰ってきたら色々聞いてみようかな。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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