第十五話 集中する。その理由
髪を切って、お昼まではまだ時間があるので早速魔法を使ってじゃんじゃん試していこうと思う
マリアナさんは声が届く範囲で荷物と一緒に少し離れてもらった。私が練習中は編み物をしたり本を読んだりするつもりだと言っていた。
こちらもやっていこう。ということで杖を持って土魔法を唱える、頭の中で右足を想像してそれが右の太ももを覆うように、
イメージする。
「ロックフィート」
手から魔力が取られるのがわかる。太ももが硬い土で覆われたと思った瞬間に、土の魔力と私の魔力の回路を繋げようとする。
繋げようとした先からボロボロと土の足が壊れていく
案の定って感じかな、土魔法で足は作れたし、壊れていくのは魔力を繋げようとお互い反応した結果。単純に魔力を繋げようとしても土の魔力が微動だにしなかったらお手上げ状態だった。
ここからは微細な魔力調節をするための気力と魔力量の勝負だ。頑張るぞ!
「ロックフィート」
「ロックフィート」
「ロックフィート」
「リサーナさん、もうすぐお昼にしませんか」
気づいたらマリアナさんが近くまで来ていたのか声がすぐ近くで聞こえた。魔力は無駄遣いできないので一切放出しない。
「ふうっ…そうだね。ちょっと休憩したいと思ってた。」
マリアナさんは素早く準備を済ませてくれた
「今日はサンドイッチにしました。卵とハム&チーズ、いちごジャムの三種類です。」
「美味しそう!…あの、マリアナさんこれ食べさせてもらえないかな。魔力を消費したくなくて、放出してないから今何も見えないんだよね」
「もちろんいいですが、そんなに焦らなくてもいいんですよ。明日もありますし、そんなに切羽詰まってやらなくても…」
マリアナさんが心配そうに言ってくれる。魔力をずっと消費するのは精神的にも大変だし心配してくれていることがわかる、ありがたい…けど
「ありがとう。だけど、どうにか今日中に終わらせたいんだよ。理由は…もし出来たら聞いて欲しいな。」
実はもし昨日の夜1日で成功したら、予定のなくなった次の日をどう過ごすか考えた。せっかく動けるようになったのだからメルトメリアの街を観光したい。マリアナさんが働いている孤児院に行ってみたい。マリアナさんと一緒に。そう思うとやる気が漲ってきて、絶対に成功させたいと思った。
マリアナさんの家に長居するつもりはない。この体は不便だけど、マリアナさんと一緒にいるのはすごく落ち着いた。そのせいでいつまでも居座ってしまいそうなので手足が出来たら長くても二週間で出ていくことに決めていた。
だから明日出来てもマリアナさんの次の休日までいれるかわからない。明日がマリアナさんとの最後の休日かもしれない。
だから多少恥ずかしいことをおねだりしてでも今日にかけているんだ。
「…はぁ、わかりました。何が食べたいですか?」
「!!ありがとう、マリアナさん。卵のが食べたいな。」
「わかりました。はい、あーん」「あーむっ」
結局マリアナさんが全部食べさせてくれた
最後の一口でマリアナさんの指も食べてしまったのがご愛嬌
サンドイッチはいつも通り美味しかった
少し雑談してお腹も落ち着いたので、作業に戻ることにした。
実際の話結構順調に進んでいる。なんとなくコツを掴めそう。
この調子でいけば今日中に出来るっていうのも夢じゃない
てことでもう一回頑張るぞ!
【小話】
・リサーナの魔力量
世界ランキングがあれば30位台。結構多い。
魔力放出の魔力消費がすごく激しい
・マリアナの魔力量
中の上。
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