第十二話 お休みの前の日
そんなこんなで明日がマリアナさんのお休みの日である。
お昼脳内で魔力回路をつなげる練習をする、そんなすぐには出来ないだろう。1日で出来るかどうかもわからない。そんな考えを察してくれたのか明後日も休みをとってくれたそうだ。
マリアナさんと代わりに仕事に入ってくれた方に感謝だ。
練習をしていると、マリアナさんが帰ってくる。今日はやけに荷物が多い。
「おかえり、マリアナさん。今日は大荷物だね。何が入ってるの?」
そうそう、私はマリアナさんに対してタメ口をよく使うようになった。会話をしていると素が出てしまって、時たまタメ口になっていたら楽な喋り方をするように言われた。マリアナさんは通常通りの敬語である。
「ただいま帰りました。はい、テリーさんに色々とお借りしてきました。夕飯の後にお見せしますね。」
テリーさんは孤児院を経営している人=教会に所属している人である。
万国共通の認識として教会の人に信頼されている人間は信頼できるというのがある。だからなんだという話だけど、マリアナさんは多分テリーさんに信頼されてるのだろう。それがなんだか誇らしい。テリーさんの方が関係は長いだろうし誰目線だってツッコミはやめてほしい。強いて言うなら家族…?なんて…恥ずかしくなってきた。
マリアナさんは荷物の中から食材を取り出して調理に取り掛かる。程なくして料理が出来上がり、いつも通り食べさせてもらって完食する。慣れたもんである。
しばらく会話してひと段落がついた頃、マリアナさんがキッチンに置いておいた荷物を持ってこちらにくる。
「これは明日持っていくランチの食材と散髪用の道具と抱っこ紐です。」
最初の食材以外よくわからない
抱っこ紐は触れては行けない気がする。察せてしまいそうで怖い。
「散髪用の道具はどうしたの?」
散髪用の道具を取り出して見せられたので聞いてみる。
「リサーナさんの髪がいま枝毛と左の横髪がはねていてひどい状態なので綺麗にしようかと思いまして、」
私のためにか。今まであまり気にしていなかったけど捕まってる最中は髪に良い環境では確実になかった。それと私は今肩甲骨あたりまで後ろ髪は伸びているんだけど、捕まって拷問されて最初の頃に邪魔くさいからと左の横髪を切られたのだ。そのあと売りもんになるかもしれないから髪は切るなって怒られてそれ以上は切られることはなかった。今は耳上ぐらいまで伸びて前よりマシだけど外側にはねてしまっている。
それにしてもマリアナさんはハイスペックだ。散髪もできてしまうなんてできないことないのでは。
「ありがとう、お願いしてもいいかな。あ、そういえばマリアナさんってどんな髪型なの?セミロングぐらいかな??色とか前髪とか細かいところとかわからないから教えて欲しいな。」
荷物から紐らしきものを取り出しているのがわかったので髪型の話を振ってみる。
「私の髪は黒、ミディアムショートぐらいの長さの黒髪ストレート。前髪は眉毛にかかるぐらいですね。」
マリアナさんは近づいて私の左手に右手を添えて自身の髪を触らせる。なんで触らせたの。言葉通りミディアムショートぐらいの長さ、しかもサラサラ。夜お風呂入れてないのになんでこんなさらさらなの。
「それで、こちらは抱っこ紐です」
やられた、二つの意味で驚いている間に触れたくない話をされた。
「リサーナさん、おんぶか抱っこ、どっちで移動されたいですか。」
「おんぶで。」
避けては通れない道を何回通ったのだろう。潔さには磨きがかかってきている。明日できなかったら明後日もおんぶされるかもしれないのか。絶対1日で成功させてやる。
そう決意して明日に向けて早めに寝た。
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