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第十話 目から鱗

平日は一本投稿するのも大変ですね。






「もぐっ、ん、ふぉれで、マリアナさんに聞いてほふぃことがあっふぇ」


「食べながら喋らないでください」


「ん、ふぉめんさい」


そういうところは厳しいらしい。一応私も貴族の類なので作法は習ったけど、個人的にはどうでも良いと思ってしまう。

注意されたくないので気をつけよう。

しっかりと味わってから飲み込む。鮭美味い。塩加減最高


「それで、マリアナさんに聞いて欲しいことがあるんです。魔力回路を使って土魔法で手足を作りたいんです。あむっ」


「確か身体強化は出来たのに体外に出すと魔法としては機能しなかったんですよね。」


この人私が喋り終わった瞬間に私の口にお粥の入ったスプーン突っ込んできた。しかもマリアナさんが話してる間に飲み込めそうな適度な量を。


「そうなんです。今日色々考えたんですけど、まとまらなくて、違う視点でアドバイスが欲しいなって思って」


マリアナさんは私が話している間左手で自分の食事を取ってた。右手では私に突っ込むようのスプーンを持ってる。両利きなんだな。これは作法的に良いのかな。マリアナさんの注意するラインがわからない。


「アドバイスが出来るかは分からないですが、とりあえずお話しをお聞かせください。」


私は今日考えたあれこれを全部言った。マリアナさんも食事をさせる手を止めなかったので全て話す頃にはお互い夕食を食べ終わっていた。


「なるほど…これまでの常識を覆しそうな考え方ですね。」


「そうですよね。違和感が拭えればそんなに時間をかけずに杖を使わず魔法が使えるようになると思うんですけど。」


「…これはアドバイスとは言えませんが、一つよろしいですか?」


「?是非聞かせて欲しいです。」


「リサーナさんがまずしたいのは手足を土魔法で作るってことですよね。理由は明快、ご自身で動くために。」


もちろん。不便ってのもあるがマリアナさんに迷惑をかけてしまっている状態が続くのが特に嫌だ。


「そして、土魔法で手足を形成することと、それを動かすことは全く別の工程にある。」


その通り。一度土魔法で手足の型をそれぞれの部位に纏わせる。そして魔力回路をその手足に無理やり繋げられれば動かせるようになる。はず。初めての挑戦になるのですぐにはできないだろうけど。

私は2度頷く。


「でしたら、杖なしで魔法を使えるようになるということは一旦端に置いておいて、杖を使って手足を作ってしまえばどうでしょうか。もちろん杖なしに魔法を使えれば便利ですがすぐに必要な能力ではないですよね。」


子供に諭すように柔らかい口調で言われる。私は唖然として全く反応できない。


「杖を使うなら一度外に出る必要があるので私がついていかなければできません。なので私の休みの日まで待ってもらうことになりますが、常識を壊す事よりは早く出来ると思います。」


……………その通り過ぎて何も言葉に出来ない。なんで気づかなかったんだろぅ。拷問されてた時に杖なしで魔法を使って復讐しようとしてたせいだ。そのせいでこんな根本的な事思いつかなかった。うぅぅ。


「リサーナさん?すいません、冷たい言い方になってしまったかもしれません。悪気はないのですが…

もちろん魔法の発動行程の矛盾点についても解明するお手伝いしたいです。現状できるアドバイスは思いつかず、申し訳ありません。」


「あ、すいません。盲点で驚きすぎて反応できませんでした。目から鱗というか…やっぱりマリアナさんに相談して良かったです。助かりました。ですけど、迷惑じゃないですかね。また休日を使わせてもらって。って、今の状態が続く方が迷惑ですよね。」


「いえ、全く迷惑ではないですよ。一番不便に歯痒い思いをしてるのはリサーナさんでしょう。それにリサーナさんにただいまやおかえりと言ってもらえて嬉しかったです。一人暮らしは楽ですが寂しさもあったので」


そう思ってくれていたのか少し照れてしまう。親しくなりたいと思っていたけど、思っていたよりも近づけているのかも。


「食事も雛鳥に餌を与えてるようで可愛らしいです。」


前言撤回、近づけているというより、私のこと拾った捨て猫かなんかだと思われてるのでは。










マリアナさんはこうゆう面があります。基本的に効率(?)重視でそこに羞恥心はでないです。基本的に。世話焼ってこともあると思いますけどね。


最後までお読み頂きありがとうございました。

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