杖の男
それは得体のしれないモノ・・・。
考えを中断した由太郎は、別の意味の恐怖を感じ始めた。
どうやら、自分自身も危険な状況だ。
先程からの考察から、明らかに、この男を殺害した者は獣ではない。
さらに、それは知性のあるモノだ・・・。
或いは、知性のある獣・・・。
狩りの目的以外で、殺害するモノ・・・。
まだ、そいつは近くにいるのかも知れない。
どうすればよいものか。
はたまた由太朗は、また別の考えが思い浮かんだのだった。
・・・村は大丈夫だろうか・・・。
ここから村までは、それほど遠くはない・・・。
そのような危険なモノが、村に訪れると一体どうなるのか・・・。
もう彼の次なる行動は、頭のなかで決まった。
(そうだ・・・、実家に返ろう。)
由太朗は実家の村に向かって、脚を動かし始めたのだった。
しばらくして・・・、睡眠不足なのか彼の脚は鈍くなってきた。
仕方が無く由太朗は、ここで休憩を取ることにした。
今は日が昇り、周囲はとても明るい。
たいてい獣は、夜行性だ。
そう考えると、今の時間帯に休息を取っていても、彼が獣に襲われる可能性は低いと思われる。
由太朗は道ばたに、ゴロンと寝っ転がった。
(・・・ん?)
休息に入っているうちに、彼は記憶を辿っている様なのであった。
一緒にいる男は、杖をついていた。
かといって、この男は老人ではない。
別の理由があって、杖を使用しているのだ。
それに、この男は身体能力は高いと見受けられ、むしろその動作は機敏に思えた。
====== ザッザーーーー!! ======
(な、なんだ!?)
目の前の移る光景が、視界がまるで砂嵐に巻き込まれたようであった。
それは都合が悪いモノを、何者かが覆い隠している様子にもみえた・・・。
===== スザザザザーーー ======
次第に、その映像が鮮明になってきた。
そして杖の男の姿が現れた。
(な・・・・!)
その彼の姿に対して、由太朗は言葉に窮したのであった。




