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イギョウ  作者: らすく
11/33

考えすぎか・・・

 ======= マト =======

 娘は焦っていた、忍びの里を出発してから2日が経過したのだが、全く手掛かりがない。

 「兄さ・・・。」

 彼女は呟く、自分の兄のことを・・・。

 マトの本来の任務は、イギョウの生物の駆除である。

 しかし、それも彼女の兄の安否を知りたいが為の行動なのである。

 「く・・・・。」

 忍びといえども、少女の脚は疲労しており、身体は休息を求めていた。

 恐らく彼女は、うつろな目で意識も、ぼやけていることであろう。

 もしマトが、その場に座れば、すぐに蹲り眠りに落ちる事であろう。

 「は・・・。」

 それでも、少女は脚を止めない。

 むしろ動き続ける事によって、自分の精神のバランスを保っているかのようであった。

 もはや自分の体力と精神力の乖離は、離れていく一方である。

 しかし動作の継続と・・・、安息への誘惑は、同時に途切れることとなるのである。

 (・・・・・・・!!)

 ついにマトは、脚をとめた。

 しかしそれは、誘惑に屈したからではないのであった。


 そこからは、少々離れていた。

 恐らく、百メートル以上の距離はあるであろう。

 しかし、流石は忍びである。

 彼女は、その気配を察知したのである。

 そして多分、その対象は、少女の存在に気が付いていないであろう。

 それでも自分の気配を極限にまで抑え、彼女は近づいた。

 (こ、これは・・・・・。)

 マトの身体は、まさに凍り付いた。

 恐怖を抱きつつも彼女は自分の眼に、その姿を焼き付けていこうとしていた。

 彼女の率直な感想を代弁すると、<人にあらず><獣にもあらず>、何者でもない・・・・、それは存在が許されるべきものなのだろうか・・・。

 それは嫌悪感というものを、軽々と超えていた。

 少女は改めて思った、やはり排除すべきであることを・・・。

 この眼で、彼女は再確認したのである。

 (・・・・・・!)

 マトは気が付いた。

 自分にも、この嫌悪感の対象に対抗する方法があることを・・・・。

 そして、そのことを彼女は実現しようとするのであった。


 ============ 由太郎 ==============

 (これでいい・・・。)

 「申し訳なかった・・・。

 安らかに眠ってくれ・・・。」

 由太郎は自身が立てた木の墓標に対して、丁寧な態度で手を合わせた。

 彼は行動を共にして、殺害された杖の男の亡骸を葬り、仏としたのだ。

 殺害された彼に驚き、そのまま場を離れて自分の村に行ってしまっていたのだ。

 さすがに気が付いた由太郎は、後ろめたいものを感じて杖の男を仏として葬ったのだ。

 もっとも、これで男は浮かばれるとは、思ってはいないのだが・・・。

 そして再び由太郎は、考えに更けるのであった。


 どうして杖の男は、自分と出会ったのだろうか。

 というのは、由太郎自身は知らない誰かに助けを求めるような人間ではないのである。

 基本的に、自分だけで行動することを望むのだ。

 そして、それだけの自分自身を守るだけの能力を持っている。

 知らない人間と、むやみに関わる道理はない。

 となると、自然と導き出せることがあるのだ。

 あの杖の男の方から、由太郎に近づいてきたのだろうか。

 (考えすぎか・・・。)

 由太郎は杖の男の行動に、裏があるのかどうか考えるのは、ひとまず止めた。

 杖の男が、一人旅を避けるのは理解ができる。

 杖の男が他の人間に、近づいていくのは道理がある。

 何故なら、その男は盲目なのだから・・・・。

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