表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/31

第五章 絆と力⑧

一時間ほどかけて入念に作戦を立てた。

実行部隊は俺とリルム。

クライスはここでの指示を。

後輩二人にはほか教室への救出と陽動をやってもらうことにした。

師匠にも確認を取り、何とかいける作戦が出来上がった。


「はっきりいって五分五分の作戦だが……時間がないし、仕方がないか」


ジェスさんも渋々オーケーサインを出してくれた。


「よし、確認通りみんな準備してくれ」


俺はみんなに通信機を一つずつ渡す。

これは管理室内の段ボールに入っていたものだが緊急時のために拝借することにしたのだ。

この作戦はタイミングが命。

直接的には関わらないクライスの指示出しが肝心なものだった。


「ロイ。死なないでくれよ」

「おう。お前もしっかり指示よろしくな」


俺たちは握手を交わす。


「クライスちゃん。あたしも頑張るね」


緊張した様子もなくリルムもロイの手を握る。

そして俺たちは部屋から出て目的の場所を目指した。

そこは食堂から一番遠い普通教室だ。最長生がいるこの教室をまず解放することが肝心だった。

ノックをし、声をかける。


「四年のリルム・ウォースカイです。この扉を開けてください」


しばらくの沈黙の後、扉がゆっくりと開かれた。

さすがは六年生と言うこともあり、警戒し魔法を詠唱しようとする人までいた。

俺たちは経緯を手短に話し、次の教室に向かった。



「おい! スレグス! 西校舎で生徒が動いてるぜ」


その動きを見て、犯人一味のウォンと呼ばれる男は少し焦りの表情を見せる。


「ああ、だがそれがどうした?」

「あそこは、六年、つまり最上級生の教室だぜ。動かれたら、後々邪魔になりかねないぜ」

「だったら、お前が始末してこいよ」


そういってスレグスは食堂の人質の方を見る。

生徒たちはスタンの魔法にかかって身動きが取れない状態でいた。

ここに三人で固まっている必要もない。

軍が動き出すまではゆっくり構えていればいい。スレグスはそう思っていた。


「しかたねぇなぁ。少し恐怖を味合わせるのもいい薬かもな」

ウォンはそう言って立ち上がった。




「男の一人が動いたぞ」


その連絡を受け、俺たちは一気に緊張する。

段取り通り、女子生徒2人は放送スイッチを入れ、西校舎全体に放送を流す。


「犯人一味が来ました! みなさん教室へお戻りください」

その一言だけいうとすぐに放送を切った。


その一言で生徒たちは教室へ戻る。俺も所定の位置についた。


「リルム頼むぞ」

「うん」


 ヒタヒタと犯人の足音が聞こえる。


「そこにいるのは分かっている。さっさと出てくるんだな」


 犯人の声で、その人物は姿を現す。


「ほう、君みたいな女の子がこんな場所で何をしようとしたのかな」


リルムは相手の口元のみに集中し、少しずつ後ずさりしていく。


「こんな子を残して、教室に隠れるとは臆病者どもめ!」

ウォンは教室の扉に向かって、手をかざし魔法を即唱した。

その手からは高熱の火球が出て、扉を溶接した。

もちろん生徒の出入りを封じるのが目的だ。


「さぁって、君もこの扉のように溶けてみるか?」


 犯人の狂気の笑みにリルムの身体は自然に硬直する。


(ロイちゃん、あたしを守って……)


逃げ出しそうになる身体を制して、リルムは少しずつ身体を後ろに逃がす。

そしてその背中に壁が当たる。


「どうやら、逃げ場はないようだな……」


男は詠唱を始める。しかし、

「ロイ。今だ!!」


俺はクライスの言葉を合図に詠唱をしていた。

ターゲットは俺の真上、三階の天井であった。


「吹き飛べ!」


俺の手からは、光弾が発射され、三階の廊下を崩した。


「うぉぉおぉ!?」

その衝撃で、ウォンは無防備のまま二階へと落ちる。


「くそぉ? 何が!」


ウォンが気づいた次の瞬間に、見えていたのは俺の拳。

落ちてきた男に対して、俺は容赦ない一撃を入れた。


バキッ――

という、骨と骨の当たる音がし、男は昇天した。


「リルム、大丈夫か?」


 天井にできた穴に向かって俺は声をあげる。


「うん。大丈夫だよ!」


彼女の声が聞けてホッとした。

リルムが囮をすると言ってきたときには俺も猛反対したが、

彼女の熱意に押され結局、やってもらうことになった。

その結果、犯人一味の一人をこうやって倒すことができた。


俺は倒れた犯人の身体をあらかじめ持っていたロープで縛り身動きができないようにした。

もちろん猿ぐつわを咥えさせ詠唱をすることも封じてある。さて、これからが本番だ。


「うんじゃ、行ってくるわ」

「ロイちゃん。気を付けて……」

「ああ」


俺は次のポイントへと向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ