入部
(昨日の配信はうまくいったなー)
朝見たらチャンネル登録者も20人に増えていた。
(なんかあの後ツバサさんとミキさんは呆然としたまま挨拶だけしてvcから抜けてしまったが結局何だったんだろう......)
「おはようございます」
教室の隅でイヤホンで耳を塞ぎ机に突っ伏して考え事をしていると隣から声が聞こえた。
「おはようございます榊さん」
そして再び机に突っ伏してボーっとする。
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「今日は部活の本入部があるから前配った紙に入りたい部活と名前を書いて部活の顧問か部長に渡すように」
深谷先生が教室を出ると教室の中がザワつき始める。
ほとんどの人がどの部活に入るかで悩んでいるようだ。
(俺はテニス部に強制入部だから悩み用がないんだよ)
そんなことを考えながら最初の授業の準備をする悠を千奈は横目でチラ見していた。
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放課後
悠は髪をピンで止めながら2年A組の扉の前で待っていた。
(よく考えたら俺部活見学の時なんの説明も受けずにいきなりハヤさんと試合してそのまま強制入部が決まったから顧問の先生とか知らないんだよな)
つまり悠は言われた通りテニス部に入ってさっさと帰って配信の準備をしようと思っていたのだが、誰に出せばいいか分からなかったから唯一話せる隼人に聞きに来たのだ。
ちなみに悠が隼人と話す時にピンで髪を上げるのは、テニスクラブの時に練習時は髪が邪魔でピンでとめていたため隼人が髪を下ろしてる悠に違和感を感じて中学の時に自分の前では髪をあげるようにと言ったからだ。
「あ....カミくーんどうしたのこんなところで?」
しばらく待っていると2年生がぞろぞろと教室から出てきてその中で隼人が悠の存在に気づきよってきた。
「いや俺テニス部入部しようと思ったら部長の名前も顧問の名前も分からなかったんで教えてもらおうと」
それを聞いた隼人は頷いて着いいてくるように悠に行って歩き出した。
隼人について行くとそこは昨日も来たテニスコートで早く来た部員が準備をしていた。
「先生と部長の先輩はまだ来てないし俺はちょっと着替えてくるからカミくんはその辺で待ってて」
そう言われた悠はテニスコート脇でボーっと準備中の部員やマネージャーの姿を眺めていた。
勿論そんな悠を不思議そうに見る人もいたが、大抵の人は昨日の隼人との試合を見ていたためあの時のやつかと納得して視線を外す。
そんな感じで10分も待つと隼人がもう1人先輩らしき人を連れてこちらに歩いてきた。
「あ....先輩あいつです。俺の友人のカミくんです。」
そんなふうに隼人が言うとも先輩と呼ばれた男は悠を見てから頷きつつ
「まさか本当に神樹くんがこの高校に来ているとはね.......」
そんな言葉に悠は首を傾げる。
勿論悠にこの先輩との面識はない、
そして隼人のことを友人とも思っていない。悠の中で隼人は尊敬する先輩というカテゴリなのだ。
「俺は先輩にあった覚えがないのですが?」
悠がそう言うと先輩は苦笑しつつ
「いやすまないね僕も中学で全国大会に出ていてね君の試合を見た事があったんだよ」
悠はその言葉に納得した。
悠は当時勝ち負けには拘っておらずただ強い人と試合したいという思いだけで全国大会まで行ってしまったので、誰が強いのかなどは全く興味がなかったのだ。
「すみません」
それでもさすがに覚えていないと言うには失礼かと思い軽く謝るが先輩は首を振って
「いや実際に当たったことは無かったからね、それよりも君がテニス部に入ってくれるにならば歓迎しよう!」
「カミくんこの人が部長の御門 零斗さんだよ」
御門先輩が俺の肩に手を乗せながら言う
「神樹君の強さはよく知ってるからね歓迎するよ。
僕もカミくんってよんだ方がいいかな?」
にこやかに恐ろしいことを宣う御門先輩に対して精一杯のしかめ面で
「そんな変なあだ名で呼ばないでください」
1コンボ!!
「そうだねこんなあだ名を公衆の面前で呼ばれたくないよね」
2コンボ!!
「そんなことはどうでもいいがお前も入部希望か?」
フルコンボだドン!!
隼人にとどめを刺したのは担任の深谷先生だった。
「なんで深谷先生がこんなところに?」
俺が疑問に思ったことを口にすると、3人とも何言ってんだこいつと言う目で見てきた。
「私はテニス部の顧問だ。
逆になんでお前は自分の入る部活の顧問の名前を確かめずに入部届だしにきたんだ」
ごもっともな指摘をもらっているが元はと言えば隼人先輩がテニス部入れって言ったからなんだけど........
「今日は一年は入部するだけだからもう帰ってもいいぞ。
私は新入部員を呼び込めって言ったのにお前と試合をやらかしたそこの馬鹿に説教しないといけないのでな」
絶望的な目でこちらを見てくる隼人が見えたような気がしたが、ガン無視を決め込んで帰宅することにした。
学校編です