Re記念配信(コラボ)8
(なんだ?)
ダッシュで間合いを詰めたはずのパールのアバターは次の瞬間には地面に伏していて、すぐそばには刀を振り下ろそうとするチェッキーの姿があった。
回避できずに首へとチェッキーの刃がめり込みクリティカルをくらいながら見たものはつい先程までは何も無かったであろう場所に張られたワイヤーとそれに絡まる自分の足だった。
「やられましたね」
悔しさの滲む声でコメントに向けて言う。
1試合目を終え3分だけ休憩しようと言うことになったのだ。
名無し:まあしゃーないよな
名無し:追加されたのも最近だし使う人ほとんどいないから.....
名無し:あんなに使いこなせてるの初めて見たかも
名無し:それな
名無し:見せ方も上手かったよな
名無し:先に跳ねると見せかけてだからね
コメント欄で言われている通り普通は使い方が逆なのだ。
元々ワイヤーガンはアップデート直後に産廃銃化されたのだがどん何マニアックなものでも人口の多いゲームなので一定層のプレイヤーによって使われはするのだ。
そんなプレイヤーたちの中でもワイヤーを使った三次元移動力へのブーストはトップに近いプレイヤーにしか使えないため、他のプレイヤーならば先にトラップとして使って切り札としてワイヤーを使った特攻をするだろう。
だがチェッキーは順番を逆にした。
それは勿論普通のプレイヤーに対してはほとんど意味を成さないだろう。
しかしパールに対しては違う。
パールは見たことない銃に表には出さなかったが軽く動揺はした、それに加えて2人がしていたのは銃ゲーに合わない超近接戦、当然判断はより早鋳物が要求される。
その状況で見た目のインパクトも強く何よりチェッキーの代名詞とも言える変態的なキャラコンによる機動力にブーストをかけるものを見れば自然と他の可能性を排除してしまう。
そうすることでチェッキーは上手くパールにワイヤーの使用手段の選択肢を絞らせたのだった。
「これでもう負けられないですね。
さてどうしようかな?」
(ワイヤーガンにはもう引っかからないけど流石に向こうも同じ手では来ないだろう。まだ見せてない切り札もある筈だ)
「こうなったらいつもので行くしかないかな?」
そう言ってbodのスキルセット欄をいじる。
名無し:え?
名無し:それが通用しないからミラーでやったんじゃなかったの?
名無し:いつもので行くの?
「勿論無策では無いけど、結局慣れた構成が1番って言うし」
そうして3分が経過し2試合目が始まるのだった。




