御門先輩と憧憬(後)
ー千奈sideー
千奈は部活が始まってからどこか上の空で作業をしていた。
(なんで神樹君別メニューなの?)
そうせっかく連絡先も交換して距離が詰まったと思ったら何故か物理的に距離が空いてしまったのだからしょうがない。
そうしていると同じクラスの皆川が走り込みと筋トレを終えたらしい。
クーラーボックスから水筒を取り出して近寄る。
「皆川くん」
「榊さんどうしたの?」
聞かれたので手に持った水筒とタオルを差し出すと皆川は受け取り水を飲み始めた。
その様子を見ていたのだがそういえばと気になっていた事を聞いてみる。
「ねえ皆川君........神樹君とどうやってあんなに仲良くなったの?」
すると飲んでいた水が気管に入ったのか噎せたようになる皆川だったが返答を聞いて思わずムッとしてしまった。
(私が話しかけようとすると避けるくせに皆川くんはいいんだ.....)
そんなことを考えていると先輩に声をかけられてしまい何故かコートに連れていかれてしまった。
そこで神樹君のプレーを見て思った。
(やっぱりかっこいいな......)
自分が何を思ったのか我に返り首を振る。
それではまるでチョロインでは無いか
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ー悠sideー
結論から言うと負けた。
あの後そのまま2点連続で取られて結局ストレート負けだった。
ブランク明けだとかそんな言い訳もできないくらいに負けた。
「神樹君いい勝負だったよまたやろう」
悠が悔しさを抑えていると御門先輩から声をかけてきた。
思わずサイコパスかよと言いたくなるくらいの笑顔だった。
「先輩との試合は疲れるんで当分いいですよ」
そう返すと御門先輩は笑みを消し真顔で言う。
「正直いって僕は君を舐めていたようだ最後の1ゲームお世辞抜きでヒヤヒヤしたよ」
それが御門先輩の本心からの言葉だと察した悠は今度こそしっかりと
「次は勝ちますよ」
その言葉を聞いた御門先輩の顔には再び笑みが戻っていた。そして
「おーい隼人聞いたかい次もやってくれるって約束して貰えたよ!」
緩みきった顔で自慢げに隼人に自慢する御門先輩と悔しそうにしながら次は自分だと名乗りをあげる隼人に冷たい視線を向けてから、帰宅の準備を始める。
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準備を終え校門を出ようとした悠だったがそこで声がかかる。
「おーい悠!!」
門の横には翔が立っていてこちらに手を振っていてその横には千奈の姿もあった。
悠が歩み寄ると
「途中まで帰ろうぜ!」
悠は電車勢だが翔は歩きで千奈は反対の電車だ。
だがせっかくなので一緒に帰ることにする。
(誰かと一緒に下校するの初めてかも)
悠の悲しみがにじみ出かけていたが、3人の話題は自然と、悠と御門先輩との試合の話になる。
2人は凄かったと褒めてくれたが悠は負けず嫌いなので納得はいっていなかった。
そんな悠を見て2人が笑ったりなどもしたが駅に着き翔と別れようとすると
「悠!!来年の大会までには俺も強くなって一緒にダブルス出れるようにするからな!」
その言葉に思わず笑みを零した悠だったが頷いた。




