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高校デビュー失敗したので有名配信者目指して頑張ります  作者: Kiki
コミュ障な僕に友人ができる話
24/37

御門先輩と憧憬(中)

ー翔sideー


「ああー疲れるなやっぱり」


今日のノルマを達成した翔はコートの横で倒れ込んでいた。


(せっかく悠と友達になったから部活でも話せると思ったのにまさかの別メニューだからな)


翔は1年で大会に出るという悠を妬むようなことは無かった。

というよりも翔は自分が試合以前の状態だということが分かっているのだ。

そういう訳で悠に対するボヤきが蔓延する他の部員達との会話にあまり乗り気では無いのだ。


「皆川君」


完全燃焼して燃え尽きていた翔に声をかけてきたのは手に水筒とタオルを持った千奈であった。


「榊さんどうしたの?」


思わず聞いてしまった翔だったが千奈はテニス部のマネージャーなので当たり前だった。

そこに思い至り自分の脳のショート具合に苦笑いを浮かべつつ差し出された水筒とタオルを受け取り1口飲む。

それを見ていた千奈が口を開く。


「ねえ皆川君........神樹君とどうやってあんなに仲良くなったの?」


その質問に思わず飲んでいた水を吹きそうのになりつつ勢いよく千奈の方を向く。


「........いや普通に話しかけて友達になろうぜって言っただけなんだけど」


翔の言葉に千奈の口がへの字に歪む。


(確かになんで悠って榊さんの事避けてるんだろうな)


そんな感じで微妙な空気になったふたりだったが、ちょうどそこに隼人がやってきた。


「あれ?もうノルマ終わったの?」


翔は慌てて立ち上がり首を縦に振る。


「じゃあ君たちも見た方がいいと思うよ?」


目的語のない隼人の言葉に怪訝な表情になる2人だったが、隼人は詳しく説明はせずまあ着いてきなよ、と半ば強引に2人をコートの前に連れて行く。


(この人前悠試合してた先輩だよな?なんでいきなりコートに?)


そして連れてこられた2人が見たのはたくさんの先輩と

コート上に立つ悠と部長の姿だった。


「実はカミくん.....神樹悠の事ね?でカミくんとリベンジマッチしようとしてた俺から御門先輩がその権利をかっさらって行ってね?今から2人で試合をするんだよ

2人はカミくんとも仲良いみたいだし見ときなよ」


やっと説明をしてくれた隼人にコクコクと二人で頷いて試合の観戦をする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「.....凄いですね」


試合が進み中で何とか翔はそれだけの言葉をひねり出す。

本当に凄いとしか言えなかったのだ。


「先輩はどっちが勝つと思います?」


千奈もずっと黙っているのは悪いと思ったのか、それとも純粋に気になったのか隼人に質問する。


「まあまず間違いなく御門先輩が勝つよ」


全く悩むことなく断言した隼人に思わずじっと見つめてしまう2人だったが隼人はコートの方を見たまま続ける。


「カミくんはブランク長かったからまだ中学の頃に比べたら弱いし何より2人のスタイルは相性が悪いんだよ」


前半は理解出来た翔だったが、後半の相性の話については全くわからなかった。


「テニスに相性ってあるんですか?」


翔はそもそもテニスをやった事は無く試合を見たりしたこともほとんどないため辛うじてルールが理解できる程度なのだ。


「もちろんあるよカミくんって結構天才型なんだよね

もちろん努力もしているけど結局カミくんのテニスは相手のボールを最良のばしょに寸分違わず正確に鋭く打ち込み続けるんだけど、御門先輩は完全な努力型の頭脳型で相手の考えてることを全て読み取って相手のしたい事をさせずに勝つんだよ」


つまり最良の場所に打ってくるんだから読みやすいってことだよと隼人は言う。

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