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第四十七話 借りはちゃんと返す女

リムの屋敷(やしき)()めてもらうことにした私たちは、彼女が住む集落(しゅうらく)――。


武道家(ぶどうか)(さと)ストロンゲスト·ロードへと向かうことになった。


お金は受け取ってもらえなかったけれど。


このお返しは(かなら)ずするんだから。


私はちゃんと()りは返す女なんだよ。


「どうした? ヘンな顔して」


「ふふん。まあ、そのうちわかるわよ」


ソニックが(くび)(かし)げて訊いてきたので、私は気分が高揚(こうよう)していたのもあって得意(とくい)げに答えた。


そしたらソニックはさらに首を傾げ、彼の(かた)()っていたググも同じようなポーズをとっている。


まあ、そのうち私の義理堅(ぎりがた)さに(おどろ)くことになるだろうけれど。


今はそうやって頭からクエスチョンマークでも出してなさい。


それから私たちは(もと)の広い道へと出た。


その後――。


森から続いている(ひろ)い道は、さすがに人や馬車(ばしゃ)(とお)っているだけあって、ポイズンアントみたいなモンスターは(おそ)ってこなかった。


思えば、灰色熊(はいいろぐま)――グリズリ―を助けに、(けもの)の道に出たのがいけなかったんだね。


そんなしょっちゅう襲われるようだったら、誰も(たび)なんかできないもの。


それにしても、リムはどうして森の中にいたんだろう?


武道家(モンク)って言っていたから自然(しぜん)の中で(きた)えていたのかな?


なんか格闘技(かくとうぎ)とかやる人って、山籠(やまご)もりするとかい言うもんね。


私は山で修行なんて絶対(ぜったい)にしたくないけれど。


「見えてきましたね。もうすぐ到着(とうちゃく)なのです。着いたらお三方(さんかた)の旅の話を、ぜひ聞かせてください」


長かった森を()けると、目の前には何もない平地(へいち)が広がっていた。


私はリムが手を()し出した方向(ほうこう)を見ると、(とお)くのほうに何やら(とりで)のようなものが見える。


というか、全然もうちょっとじゃないじゃん。


あの砦、まるで豆粒(まめつぶ)みたいに小さく見えるよ。


「お前ってホントわかりやすいな……」


(こころ)の中で思っていたことが顔に出てしまっていたのか、ソニックは(あき)れてため息をつき、ググは笑っているみたいにキュウキュウ()いていた。


私はなんだか()ずかしくなってしまって、ソニックの背中(せなか)何度(なんど)(たた)いた。


(いた)がるソニックを見て、ググはさらに鳴いた。


「本当に(なか)がよろしいのですね」


そんな私たちを見ていたリムも、ググと同じように(うれ)しそうに笑っていた。


別にこいつと仲がいいわけじゃ……。


ただ、一番叩きやすいって言うか……。


「ああっ! もうッ! ソニックのバカッ!」


「なんなんだよビクニッ!? やめろってッ!」


そして、私はまたソニックの背中をポコポコ叩くのだった。


それから、ようやくリムの住む集落――。


ストロンゲスト·ロードの前に辿(たど)り着く。


「わぁ~すごいね。なんか木のお城みたい」


その武道家の里の(まわ)りには、(ふと)丸太(まるた)できた防護柵(ぼうごさく)()てられていた。


きっとモンスター対策(たいさく)かな?


里とか集落って聞いていたから、もっと田舎(いなか)にある村みたいなのどかなものを想像(そうぞう)していたんだけれど。


まあ、そりゃ魔物(まもの)(あらわ)れる世界なんだからこれぐらいは普通(ふつう)なのかもね。


門番(もんばん)の方! リムです! リム·チャイグリッシュなのです! どうか開門(かいもん)をお(ねが)いします!」


リムが門のところで大声で()()けると、閉じていた門がゆっくりと開いていった。

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