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ヒロインに会いたい!

前回のあらすじ オオカミちゃんは不幸体質

いいぞー、いいぞー!オオカミちゃん早いぞー!

この風に乗る感覚、微妙な振動とたまに大きく上下する振動のコラボレーション。これはいい!クセになる!バイブレーションの玉手箱や!


あ、そうだ。官能に身を任せてる場合じゃなかった。行き先を決めてなかった。あれ?じゃあオオカミちゃんはどこへ向かっているんだろう?何も指示を出してないけど。


「ねー、オオカミちゃん。どこに向かってるの?」


あ、質問したら止まっちゃった。もしかしてなんとなく走ってただけなのかな?


「俺ってエルフに会いたいんだけど。どこにいるか知ってる?」


オオカミちゃんは知らないみたいですごい勢いで左右に首を振っている。左右のバイブレーションもなかなかいいね!って一瞬楽しんだ後、考え直す。ちょっとあそこのボジションがズレちゃった。違う、それじゃない、考え直す。どっちへ行こうか?


「南は海だし、北は行ったことあるし、じゃあ東か西か。む?西に山があるな。エルフと言えば山、だよな?いけね、俺ってば何の知識もないや。でもまぁ大丈夫だろう、俺、主人公だし。どこへ行ってもうまく行くに決まってる。よし、西に行こう!」


この判断力の早さは俺の長所だね。小学校の通信簿で「はやとちりが多いです。しっかり考えてから答えましょう」と通信欄に書かれて親の怒られたのは俺のトラウマではあるが、それを乗り越えた俺、すごい!過去の失敗を乗り越え、次へと生かす。生かす?乗り越えただけで生かしてはいないな。まぁいいか。これも個性だ。深く考えない。



「ただ走っててもヒマだなぁ。ヒロイン呼び寄せイベントでも考えておくか。まずテンプレの定番で思いつくのは「トースト加えて十字路でゴツン!」だな。俺の実家は朝はゴハン派だし、社会人になってもやはりゴハン派だったから「トースト咥え走り」は体験してない。せっかく異世界に来たことだしやってみるか。やべえワクワクする!


えーと、もちろんトーストは持ってない。代わりのものは、っとブドウと魚しかないなぁ。ブドウの枝を咥えてみる。・・・ないな。枝を咥えているだけでもはや食べてないし。

じゃあ魚?イカかなぁ。うっ、新鮮すぎて吸盤が唇に吸い付く!ああ、スミが出てきた!オオカミちゃんにかかったけどまぁいいか。いいよね?うむ、聞き分けのいいオオカミだなぁ。もはやこれは俺の眷属だな。いい子を捕まえたもんだ。でもこれ以上スミまみれにするのも可哀そうだ。部下イジメにならないようイカはやめておこう。


うーん、じゃあイワシかなぁ。やってみよう。・・・ウロコが気持ち悪い・・・。生臭い・・・。こりゃ煮干しにしてからじゃなきゃ咥えられないな。いままで目を背けてきたけど、やっぱり包丁や鍋といった鉄器が欲しい。道具もなしに数学なんて順番が間違ってたんだ。エルフの里を見つけたら何かと交換してもらおう。




そうそうヒロイン呼び寄せイベントだ。あっ、よく考えたらここには十字路がない!見渡す限りの平地じゃないか!しくじった!何を咥えたらいいかの前に前提条件が目の前になかったのかぁ・・・。

まぁいい。前向きに、前向きに!


ん?前を向いたらなにやら焚火を見つけた。しかも誰も火の番をしてないじゃないか。いくら平地で燃え草がないとはいえ危ないぞ。俺が消しておこう。



近づいてみるとただの焚火じゃなくて、誰かの食事の用意みたいだ。でもこんな野蛮な料理方法はないよな。だって羽もむしらずに鳥の丸焼きしてるもん。内臓も取ってないし。これを用意したヤツは料理ってもんをまるで理解してない。俺が文明人として教えてやらないと!俺にも教育者魂が芽生えてたみたいだぞ?俺の成長に乾杯!


(・・・おなかすいた・・・)


そうだ、せっかく火種があるんだから俺も魚を焼いて食べよう。さっき咥えてたイカとイワシ。串に刺してと。他に何を食べようかな。


「食べ物!きゃーーー!!」


「ぎゃーーーーーー!!!」


焼き鳥だと思ってた鳥が喋った!しかもイカ食べ始めた!え?え?なにこれ?ドッキリ?カメラどこ?やべえ俺、パンツ一丁だ。テレビに映る格好じゃない。着替えるしかない!スーツ着よう!スーツ以外には服をもってないから一択だ。


せかせかと着替えを終わらせると、ちょうど鳥もイカとイワシを食べ終えたところだった。


「あら?そのスーツ。もしかして勇者?」



こうして俺はヒロイン呼び出しイベントを中途半端に行ったことにより、中途半端なばったもんヒロインを呼び出すことに成功したのだった。








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