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勇者?ムリムリ。魔王?まだまマシかな。それでいこう!  作者: ヒロトコ
第二章 ゴブリン改造計画
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聞き込み調査 後編

前回のあらすじ あいつマジメすぎるんだよ。ま、そこがいいところなんだけどな(上司A 談)

周辺での聞き込みを開始する。最初に話を聞けたのは畑で収穫作業をするおばさんだ。中年女性ならば噂話を耳にすることも多いだろう。勇者関連や領主の情報も集まるはずだ。期待が高まる。


「こんにちは。私は隣町で商人をしている者ですが、人を探していまして。最近見慣れない人を見ませんでしたか?」


「何だい、あんたも人探しかい?ってことはアレだろ。あのお兄ちゃんのことを探してるのかい?あぁ最悪だったよあの人は。あんた身内かい?身内だったらちゃんと言い聞かせてあげなきゃだめだよ!ありゃ最悪だ。あんなことやってりゃダメな人間になっちまうよ。まったく困ったもんだよ」


さすがおばちゃん。何も言い返せないまま一気にまくしたてる。しかし内容はほとんどない。


「あの兄ちゃんはさ、会ったとたんに何て言ったと思う?「お姉さん、髪がキレイですね」だよ?おはよう、でもこんにちはでもなく、「キレイですね」だよ?こんなおばさんにさ。全くさぁ、最近じゃあ旦那にもこんなこと言われないのに参っちまうよ。警戒する間もありゃしない。だからさ、ついボーとしちまったらあいつったら、何言ったと思う?「服装も似合ってますよね」だよ?全くさぁ、参っちまうよ」


おばちゃんはこちらの答えを待たずに話を続ける。話の間に何度かこちらの意見を求めていたようだったが気のせいだろうか?気のせいなのだろう。


「でさ、そんなことを言うもんだから私だってビックリしちまうじゃないか。だからさ、思わず言っちまったんだよ。「大根の漬物食べるかい?」ってね。ちょうどお茶請けにしようともってたんだよ。これ持って隣の奥さんとお話ししようと思ってさ。あ、隣の奥さんっていっても畑挟んで向かいの家だからさ、近くはないんだけどさ。あの奥さんも膝が痛いってんであんまり外出できなくってね。だから私が行ってあげるのさ。でも行くとどうしてもお茶請けを出されちゃうじゃない?悪い気がしちまうからなるべく私も手ブラでいかないようにしてるんだよ」


さすがおばさんである。一人で勝手に盛り上がってしまった。何を話していたのかすでに忘れてしまっている。だがここは忍耐強く話が戻るのを待とう。焦りは禁物だ。



・・・10分経過


「でさ、奥さんったら息子さんと仲直りしたのがその一言よ、「チャーハンおいしい」って。本当に感動だよね。それなのに旦那がさ、「牛タンだろ」っていうわけよ。せっかく場がまとまりかけてるのね」


まだ本題に戻ってこないようだ。忍耐強く話が戻るのを待とう。焦りは禁物だ。


・・・さらに20分経過


「で言ってあげたわけよ、「襟が曲がってるよ、そんなことだから嫁も来ないんだよ」ってさ。そしたら何て言ったと思う?「これが流行なんだよ」ってさ。全く口が減らないったらありゃしない。で息子とはそれ以来まともに口を聞いてないんだよ」


大丈夫。私は忍耐強いのだ。これまで隣人、ペット、旦那、息子と話が進んできたのだ。次くらいには領主か勇者の話がでるはずだ。もうちょっとの辛抱だ、頑張れ私。


「あ、そろそろ夕飯の支度しなくちゃだね。隣の奥さんは・・・、特に用事もなかったしまぁ今日はいいかね。じゃあね」


「ああ、あの知らない人を見かけたって話は・・・」


「あぁ、そういえば人探しだったね、言ってくれなきゃ忘れちまうじゃないか。全くもう何してんだい!はっきり言いな!そうさね、明日にでもご近所の奥さん集めてやるからそこで聞きなよ。じゃあ広場の井戸で午後に来な」



明日には多くの情報を得る伝手ができた。今日の苦労も報われるということだ。まだ活動したいが日も暮れてきたし、私も話を聞かされすぎて疲れてしまった。近くに宿は見当たらない。野宿の準備をして早めに寝よう。明日はいい日でありますように。

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