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勇者?ムリムリ。魔王?まだまマシかな。それでいこう!  作者: ヒロトコ
第二章 ゴブリン改造計画
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不憫な狼ちゃん

前回のあらすじ 勇者さーーん、えらっさーーーひ!

「あの剣を刺したのは誰なんだろうか?もしかして俺がここへ来たのは俺の意思じゃなくて何者かの意思が働いてるのだろうか?ゴブリンに授業を教えるなんて俺らしくないことをしてるのも何か理由があるのだろうか?」


ゲドは珍しく悩む。領主を倒したあの日の誓い「俺は心の赴くままに動く!(テキトーに暮らす)」、俺は守れているのだろうか?守っているように見えて何者かに誘導されてるんじゃないだろうか?


「・・・そんなはずないか。考えすぎだな。ゴブリン村に来たのはたまたま南に向かってきただけだし。平和を愛するのは日本人なら普通だし、教育も自分の知識をひけらかして優越感を感じたいだけだし。でも何だろう?この心をザワつかせる何かは。気になる・・・」


この焦りをごまかそうと浜辺を走る。走るとゴブリンの生徒に怒られる。

「センセー、計算式が消えちゃうから違うところで走ってよ!」


この焦りをごまかそうと洞窟を探索する。道に迷って出れなくなる。

「なぁキャサリン、ゲドが部屋に戻ってこないんだけどどこかで見かけなかったか?」

洞窟に入ったのをたまたま見ていたゴブリンの生徒がいたのが良かった。生徒全員による捜索がなされた。無事救出される。


この焦りをごまかそうと火魔法の練習をする「火魔法 炙り」。

「ああああ、思い出した!!!オオカミちゃんと待ち合わせしてたんだ!もう三日経ってる!?」

次の日に行こうと思っていたのにすっかり忘れてしまっていた。


「この焦りってもしかして待ち合わせを忘れてたからか!そうかそうなのか、分かってスッキリした、ふぅ、良かった。どうしようかなぁ、いまから行ってももういないか」


一応行ってみた。

「お、ブドウがいい感じに実ってるな。ちょうど旬みたいだ。ちょっと食べていこうか」

最近甘いものを食べてなかったせいか食が止まらない。しかし1房食べ終わったころに違和感を覚える。

「うおおおおおお!」

この村に来てからなんと初めての便意!近くの木陰で尋常ならざる量のウ〇コが出る。

「人間ってこんなにお腹に溜めていられるもんなのか。まるで赤ちゃんと同じくらいの大きさだよ。そりゃそうだ、貝を完全に消化できる訳ないよな。ただ単に今まで便秘だっただけか。しかし出してみるとなんか不思議な達成感があるな。いい気分。今日は帰って早めに寝るか」




夜中に目が覚めた。

「ああああああ!!!オオカミちゃんを忘れてたーーー!」「ゲド、うるさい!黙って寝てろ!!」


翌朝、さすがに覚えていたのでブドウの木の元へ向かう。

「もういるわけないけど行くことが大切だよな。行ってみたけどたまたま会えなかったから帰ったんだよ、って言えば言い訳になる。ちょっと様子みたら帰ろう」


オオカミちゃん、いました。子供から年寄まで。前回と同じメンバーが同じ場所に・・・。


「ご、ごめーーん、待ったぁ?ちょっと遅れちゃった。えへへへ」


「ワオーーーン!!」


「あ、やっぱり怒った?ごめん」


ここは変に言い訳したほうが余計に怒りをかうはず。先制して謝った。サラリーマン時代の経験がここで生きる。過去の経験を次代に生かす、俺ってできる男。


オオカミちゃんは怒って向かってくると思っていたがそうではなかった。遠吠えに合わせて見事に揃ってお腹を見せた。もしかして練習してたんだろうか?


「あ、もしかして怒りより俺への甘えたがりのほうが強かった?そうかそうか、ういやつめ。よーし、がんばってお腹をなぜちゃうぞ、どうだここか?ここか?」


ボスから始まり子供まで、もうそれはそれは愛情たっぷりにナゼナゼすると皆足を痙攣させて喜んでくれた。意識もどこかへ飛んだようだ。「気持ちよかったんだなぁ」とゲドは満足感を得ていた。実際は恐怖心で気絶していただけだったが。


のどが渇いたのでブドウを食べているとオオカミは復活したようで、またお座りの恰好に戻っていた。

「それにしてもこれだけ待たせても大人しくしていてくれて、いい子たちだなぁ。飼ってあげたいなぁ」


人族の言葉を理解しているのだろうか?みな揃えたように首を横に振る。これも練習していたのだろうか?


「あぁ、さすが野生。飼われるのは嫌かぁ。でもこれでお別れもなぁ。名残おしいよなぁ。そうだ、このあたりの警備役しないか?ゴハンも毎日じゃないけど持ってくるようにするからさ、どう?」


オオカミは動かない。動けない。どう対応したら縁をきれるのか悩んでいたから。でもそれをゲドはお願いへの拒絶と判断した。


「じゃあさ、せめて連絡役として一匹通わせてよ。数日に一度さ。これならどう?」


すると今度は皆そろって一匹を見た。きっちり揃って。練習していたのかな?目線の先には一番最初にここへ来たあのオオカミがいた。そのオオカミはガッチリと固まっていた。目が虚ろだ。


「そうか、もう役目が決まっていたんだな。じゃ3日に一度ここで会おう。俺がもし忘れちゃったらいつまでも待たせては悪いから昼までに来なかったら帰っていいから。どうだい?」


残像が見えるくらいの速さで首を縦に振ってくれた。そんなに嬉しかったかな?俺も嬉しいよ。



オオカミちゃんと固い絆ができた。ゴブリンとも仲良くしてくれるといいな。みんなで仲良しが一番!あ、食育を忘れてた。次に会うときまでに火魔法を上手に使えるようにがんばるからね。待っててね、オオカミちゃん!






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