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勇者?ムリムリ。魔王?まだまマシかな。それでいこう!  作者: ヒロトコ
第二章 ゴブリン改造計画
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授業やってみた?

前回のあらすじ 授業前にツカミの雑談をするのは大事なのです!

「まずみなさんに覚えていただくのは文字です。ひらがなです。「あいうえお」を縦、「あかさたなはまやらわ」を横に、あーー、説明するのが面倒です。50音書いておくので覚えてください」


「説明が雑ー、ちゃんと教えてー」


「せんせー、最初に書いた文字が波にのまれて読めなくなってます。砂浜じゃなくて他のものに書いて欲しーです」


「君たち、明日までにこれを全部覚えてください。もうちょっと丘に近いほうに書いておくから」


「せんせー、風で文字が消えてきたのでもっと深く書いてくださーい」


「せんせー、足跡で文字が消えたのでもう一度書いてくださーい」


「えーみなさん、これは君達の記憶力を試しています。消える前に覚えてください」


「「「「えーーー、無理ーーーー」」」」


「最後にもう一度書きますよ。次の授業は明後日です。それまでに覚えておいてください」





「やっぱり砂浜で授業するのは無理があるかなぁ。でも黒板も紙もないし。面倒だから設備やら何やら諸々端折っちゃおうかと思ったけどやっぱり無理があるみたい」


一日目となる今日の授業を終え洞窟に戻ってきた。改めて振り返るといろいろ問題点があるのが分かる。そりゃそうだよな、砂浜でできる授業なんて体育の授業くらいだろう。


「さて問題点はいろいろあるけど、まずは書くものを考えよう」


最初は俺が書くのに必要な黒板とチョークだよな。チョークはなんとか出来そうな気がする。俺が散々食べた謎の貝の貝殼を焼いて、砕いて何かで固めればチョークの出来上がり!簡単だ。出来ることからコツコツと。さぁやってみよう!

この洞窟の中でやるとたぶん窒息ししちゃうから、広場へ移動してと。貝殻はとりあえず両手に乗るくらいで試してみよう。さぁ、燃やすぞ、燃やすぞ、「こい火魔法!」

・・・本当に燃えちゃった。貝ってこんなに簡単に燃える尽きるもんなの?そういえばゴミの分別では貝は燃えるゴミだったっけ。でも跡形もなくなるなんて。貝を焼いて食べたときはこんなことにならなかったけど。濡れてたから大丈夫だったのか?それとも俺の魔法の威力が強くなったのか?うーんどうしたらいいか・・・。


直火が悪いのかもしれない。石で囲って蒸し焼きなんていかがかしら?なんか料理してるみたいで楽しいね!広場だから小さい石しかないな。うーーん、集まらないからやっぱり土に埋めてみよう!「はい火魔法」

お、結構いい感じに焼けてるじゃん?思ったほど白くはないけど。まぁいい、これを石で細かく砕いて粉にして、あとはくっつければいいな。糊は・・・ある訳ないな。ご飯粒はがあればくっつくな・・・余計にある訳ないな。何かないかな、樹液?俺は木に詳しくないしな。あーこんなことなら前の世界でサバイバル入門でも読んでおけばよかったなぁ。サバイバルにチョークは不要か。あ、でも良く考えたら固めなくてもいいか?粉を筆につけて墨汁みたいに使えるんじゃ?よしよし、この粉をそのまま持っていこう。ダメならその時また考えればいいじゃん。深く考えちゃいけないよね。


次は黒板だな。これは簡単だぞ。木の板の表面を焦がして、軽く洗えば完成だ。木の板は・・・、ないね。俺ノコギリも持ってないじゃん!どうすれば・・・。あ、俺って勇者補正がかかってるんだった。できることがあるじゃん。えっとこれくらいの太さの木なら・・・。えいっ!手刀で横切り成功!おお、なかなか滑らかな断面だぞ、やるじゃん俺!丸太は完成。縦切りもなんとかできた、木板も完成。厚さはまぁおいおいね。さて表面を焦がして、と「火魔法」

だーかーらー、俺の魔法って強すぎ!灰しか残らないじゃん!水に濡らしてからやってみるか。「水魔法」

濡れたね。というか木に穴が開いたね、威力強すぎ。まぁいいや、水たまりができたからこれに違う木板をつけて、はい「火魔法」

・・・また燃え尽きちゃうのね。あぁ火力調整の練習をしてこなかったツケがこんなことで返ってくるなんて。これも蒸し焼きにして炭にしちゃおうか。スカスカになるよな、これはやる前から分かる。俺も思慮深くなったもんだ。さてどうしよう・・・。

あ、雷はどうだ?やってみよう「はい雷魔法」

焦げたんだけどね、確かに焦げたんだけど砕けちゃだめだね。諦めちゃおうかな?いや初日から諦めちゃだめだよね。よし、今後のことも考えて魔力の調整を練習しよう!そうと決まれば練習しに浜辺に行こう。これ以上焦土を広げたら地球に悪影響だ。Save Earth 環境破壊はいけません。貝をつまみながら魔法の練習。悪くないね。



魔法の練習してたらあっという間に二日たった。授業の日だ。魔法の練習してるうちに楽しくなっちゃって当初の目的を忘れてしまい、木板を全く思い出すこともなく授業を迎えた。でもこの二日間で分かったことがある。どうやらこの貝は微量ながら魔力を上げる効果があるようだ。魔力を小さくする練習を続けても逆に火力が上がっているので気付いた。怖いので最大火力は試してないけど。それととうとう焼き貝ができなくなった。考えうるどんな方法を使っても貝を焼き尽くすようになったからだ。あぁ、あのグツグツと汁が煮立つ音と香り、アツアツの貝が食べたい!でも貝を食べれば食べるほどほどよい火加減から遠ざか。なんてジレンマ!人生の理不尽をまた感じてしまった。


おっといけない。今は授業だ。気を取り直して。


「はーい、みんな、授業を始めます。まずはあいさつから。よろしくお願いします」


「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」


「みなさん、ひらがなは覚えてきましたか?」


「はい、先生!みんなひらがなを覚えてきてます。それとせっかく覚えたのでみんなで話し合って各自で日記を書こうということになりました。昨日の分はみんな書いてるのを確認しています」


「え、もう覚えたの?というかもう使いこなしてるの?というか何に日記をかいてるの?」


「みんなの家の洞窟に書いてるんだよ。平らに削って。書くものはね、誰も済んでない鍾乳洞に白い石が生えてるところがあってそれで書いてるの。細くって書きやすいの」


・・・何も考えないようにしよう。俺の心は無だ、無。よし、これまでのことはなかったことにしよう。


「よし今日は足し算のやり方だ。また砂浜に書くからな。暗記しろよ」


「「「「「はーーい」」」」」


彼らは勉強熱心だ。いい生徒を持ったもんだ。










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